メモ

シリアル番号 表題 日付

101

免疫

93/8/3

●生命はDNAの支配下で完全なコピーをつくる任務を負っているが、免疫システムはDNAに従ってプログラムされた機械的なところもあるが、場に適応する、または偶然性を積極的に取り込む後天的に作られるスーパー・システムである。

●個性のある生命体としての人間はDNAの解析だけではわからない。ランダムで予見不可能な部分が生命として値打ちがあるところで、文化的にも重要な部分である。言語、国家、文化形成はいろんな偶発性を取り込み自己組織化してゆくプロセスである。

●骨髄にある幹細胞が胸線(Thymus)でT細胞になる。

●このT細胞はアットランダムに様々のレセプターをつくる。このうち自己を攻撃するT細胞は殺され、最終的には予知不能なあらゆる非自己に反応できる細胞のセットができる。

●このようにして自己というものが形成されてゆく。しかもその自己はいろいろな外界との反応により、常に変動し流動しながら維持されている。

●脳神経系も後天的に作られるという意味でおなじくスーパー・システムといえる。精神における自己の形成はこの免疫システムに似た過程を経て形成される。

●個性ある個人の意味がある。

●免疫系はストレスによって非常に影響をうける。精神的なストレスで胸線が萎縮する。また免疫系の働きをになう分子が神経に直接働き掛ける。

●ガンは突然変異で発生し、免疫系が発見し排除に失敗した細胞である。免疫系は自己と認定してしまっているため、抵抗しない。

●以上多田富雄東大医学部教授談


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