シリアル番号 | 表題 | 日付 |
089 |
現代の指導者の条件-1 |
93/5/4 |
猪木武徳:大阪大学教授(21世紀の日本委員会委員)の意見
●現代社会のリーダーを古代史や伝説に登場する英雄と混同してはいけない
●必要なのは公共的視点から利害調整を行ないうる人間か機関だ。
●単なる秀才、律儀者ではなく、公智・公徳を備えた力強いリーダーを。
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●多くの人間は適性の面でも、関心のうえでも、リードされることの方を好むゆえに独裁者をうみやすい。
●独裁制が恐ろしい人間不信と猜疑心を人々の心に植えつけ、膨大な数の生命の犠牲を強いたことは改めて強調する必要はあるまい。
●経済面に限っても、中央集権的経済が経済環境の変化への対応能力の点で極めて劣ることは旧ソ連・東欧の崩壊が雄弁に証明している。
●エリートによって人間社会をデザインし、管理しようとしたところに社会主義独裁の根本的誤りがあったのだ。
●民主主義も単に私人の欲望を足し合わせただけの意志決定では浮遊する「愚者の楽園」と化してしまう。
●現代社会では政治権力が「人」に付与されてのではなく、法に定められた「職務」に与えられている。したがってカリスマ性は必ずしもリーダーの要件とはならなくなった。
●リーダーシップというものが、個人の特性や資質、生物学的特徴をベースに発揮されるというよりも、リーダーと追従者との相互期待のなかでその「役割」が実現される。