シリアル番号 | 表題 | 日付 |
013 |
ルイセンコ |
90/7/29 |
●マルクスレーニン思想で遺伝も変わりうるとし、スターリンとフルシチョフに取り入り、ソ連の農業をダメにしたエセ学者。
●フランスの生物学者ラマルクがキリンの首が長いのは環境の影響や訓練による獲得形質は遺伝するためとしたが、これは間違っていてメンデルの遺伝法則やダーウィンの進化論が正しいとされている。
●ロシアの育種学者のミチューリンは穀物の種子を低温処理すると次世代に続く優良な形質が生み出されることを理論化しようとした。ルイセンコはミチューリンの成果を政治利用した。スターリン時代、ダーウィン派のバビロフはルイセンコを批判し捕えられ獄中死。
●フルシチョフがスターリン批判したときメドベージェフはルイセンコ批判を開始したが、フルシチョフの素人考えに取り入ったルイセンコはしばらく権力を保持した。
●ブレジネフ時代になって始めてルイセンコは失脚した。メドベージェフの批判がルイセンコを越え共産党一党独裁に触れた批判書を海外で出版した時メドベージェフは精神病棟に強制的に入れられた。これを助け出したのはサファロフであった。
●現在のバイオテクノロジーの知見によればDNAの特定部位にメチル基が結合して遺伝子の発現をコントロールする仕掛けがある。種子を低温処理するとこのメチル化した変化が世代を超えて子孫に伝えられることがわかってきた。遺伝子組み換え無しにも数世代はこのメチル化が遺伝するようだ。これをエピジェネティックス(後生遺伝)という。…佐野浩奈良先端科学技術大学院大学教授
Rev. January 26, 2006