シリアル番号 | 952 |
書名 |
誤解だらけのエネルギー問題 |
著者 |
浜松照秀 |
出版社 |
日刊工業新聞社 |
ジャンル |
技術 |
発行日 |
2006/3/27第1刷 2007/9/30第3刷 |
購入日 |
2008/5/19 |
評価 |
良 |
大江宏アジア大教授の紹介で中小企業基盤整備機構内会議室で開催された第4回経営におけるサスティナビリティ診断研究会に出席した。そこで知り合ったケンウッドのM氏から「誤解だらけのエネルギー問題」
浜松照秀 日刊工業新聞社に対して意見を求められた。
著者は電力中央研究所顧問
早速買ってパラパラとめくっただけだが、ここに書いてあることには特に異論はない。化石燃料から作る水素エネルギー、それを燃料とする燃料電池、分散電源とかについての疑問は私も10年来感じていたことで、10年前、千代田がNEDOの資金で電力中研などと共同でおこなっていた水素エネルギーと燃料電池から撤退することを決めたの私であった。いまでも正しい決断であったと思っている。今再び、書き上げた私の小論でも同じ考えで一本筋を通し、同じ疑問を呈している。
日本で水素エネルギーを提唱したのは太田時雄先生だという。そういえば昔そういう人がいることは知っていたが、夢物語と聞いていた。ところが森永先生と親しくお付き合いすることになってから、先生のお供をして稲村ヶ崎の太田時雄先生のお宅に伺ったことがある。直接お会いするとなかなか立派な先生だと感心したものである。しかし体が弱くなって外にはでられなくなったということだった。
その後、マスコミが燃えて水しかでないというようにはやされるようになってから、水素エネルギーと燃料電池はおかしくなった。化石燃料から水素をつくるようではダメと専門家ならすぐに分かるが素人は分からない、それをよいことにして、産業界もその人気にあやかろう、日本中の学者も研究費がでるのだからいいではないかということでおかしくなった。吉田邦夫は政府委員をしている東大教授だが「クリーンエネルギー社会のおはなし」で第7章水素エネルギーという独立の章まで設けている。
外国でもジェレミー・リフキンが「水素エコノミー エネルギー・ウェブの時代」という本を書きフィーバーを煽った。極めつきは少し教養のないブッシュ大統領がとりあげたことで完全にくるってしまいNEDOも民間も無駄なエネルギーをこれにそそぐようになったというアホらしい話である。著者はさすがに覚めている。
ただ著者が言及している範囲は狭く、二酸化炭素の海洋隔離については言及ないし、原発がもつリスクには全くふれていない。エネルギー問題はもっと高所から見ないと国を誤ることになるというのが私の感想。ではどうすればよいかというのが私の今のメーンな関心事である。