シリアル番号 | 839 |
書名 |
「法令遵守」が日本を滅ぼす |
著者 |
郷原信朗 |
出版社 |
新潮社 |
ジャンル |
社会学 |
発行日 |
2007/2/16第1刷 |
購入日 |
2007/2/21 |
評価 |
優 |
司法分野で働いていて著者の講演会の司会もするというS.K.に良かったと聞いて。
新潮新書
著者は東京大学の理学卆の東京地検特捜部検事という移植の経歴を持つ。現在は桐蔭横浜大学法学科大学院教授。
コンプライアンス=法令遵守という考え方が組織をダメにしているという。その結果として閉塞感、事なかれ主義など弊害が蔓延している。なぜか?
欧米のように法令中心、司法中心の国では、法令を遵守することが社会的要請に応えることになるため、「コンプライアンス=法令遵守」でよい。
しかし日本では(法令が社会的要請を上手く拾い上げていないため)、短絡的な「法令遵守」をしても世の中の問題は解決できない場合がおおい。したがって未熟な法令の背後に隠れて見えない潜在的な社会的要請に応えることこそがコンプライアンスであると認識して行動しないとうまくゆかない。「コンプライアンス=社会的要請への適応」が正しい。 (そして「社会の潜在的要請」を法令化する努力が必要となる)
なにか新たな問題が発生したら、発生した問題の根源的な原因や背景を明らかにして是正処置を講ずる「治療的コンプライアンス」が重要だ。
社会的要請への適応をしてゆくためには個人個人、組織が目を持たなくてはならない。カンブリア紀の進化の爆発が有眼生物の誕生というパーカーの「光スイッチ説」を紹介して締めくくっている。さすが理学部出身だけあってポイントをついている。
(xxx)内は著者が書いたのではなくグリーンウッド氏が著者はこう書きたかったのではないかと行間を補ったものである。