読書録

シリアル番号 712

書名

亡国のイージス 上下

著者

福井晴敏

出版社

講談社

ジャンル

小説

発行日

2002/7/15第1刷
2005/7/14第23刷

購入日

2005/8/30

評価

最近映画化された。作者が「ハリウッド並みのサスペンスドラマを書きたいと思って筆をとったが、日本の自衛隊が法に絡みとられて何もできないことがわかり、これを逆手にとってサスペンスを書いたらうまくいった」という作者の言葉を新聞で読んだが、映画は観る気持ちはなかった。まえじま氏が映画より小説の方が面白いというので文庫本を買って読み始める。

1,000ページを越える長編だが、半分を過ぎてから、一気に読破した。確かにサスペンス小説ではあるが、それ以上のインパクトがあった。巻末の切通理作氏の解説にあるように、この小説で描かれる人間達は日本の現状を逆照射するように煮え切らない主体性のない人間として描かれる。その人々が非日常の世界で七点八倒し、慟哭しながらのたうちまわる姿を通じて読者の隠された本音を喚起し、カタルシスをもたらすからであろう。

映画を観る前の一読をおすすめする。読後、友人S.K.に贈呈。

2006/10にBS-TVで観る。


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