読書録

シリアル番号 671

書名

ジェットエンジンに取り憑かれた男

著者

前間孝則(まえまたけのり)

出版社

講談社

ジャンル

技術史

発行日

1992/6/15第1刷

購入日

2004/12/19

評価

鎌倉図書館蔵

青森の水木氏の教わって読む。前間氏は宇宙事業団のブースターロケット失敗につき、新聞にコメントを寄せていたのを覚えている。

IHIで20年間ジェットエンジン設計に従事したのち独立。

第二次大戦中にBMW003A八段軸流ターボジェットエンジンの断面図だけを参考に種子島、永野治らが独力で開発した国産初のジェット機「橘花(きっか)」、そしてエアバスA320のロールスロイス・エンジンの共同開発までの日本のジェットエンジン開発史。

ドイツから入手したジェットエンジンの断面図だけではホイットル発明のクリスマスツリーの秘密に気がつかず、翼と円盤を溶接構造として苦労する。

橘花のジェットエンジン開発に携わった永野や種子島は戦後、IHIでジェットエンジン開発に復帰する。グリーンウッド氏もLNGプラントの試運転で飛行機が墜落したような音を発するコンプレッサーのサージングやウッドワードガバナーを使った経験があるが、同じ苦労の逸話が続く。

最終的にはロールスロイスエンジンのライセンス製造からはじまりロールスロイス社の倒産後は数十名の若き設計技師をブリストルの設計事務所に送り込んでエアバスA320のエンジンの共同開発と製造分担にまでこぎつけた技術史を詳細に記述。結果造船部門からジェット部門へとの収益源のシフトに成功。


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