読書録

シリアル番号 517

書名

連合赤軍「あさま山荘事件」

著者

佐々淳行

出版社

文芸春秋

ジャンル

ノンフィクション

発行日

1999/6/10第1刷
2002/1/5第9刷

購入日

2002/08/17

評価

まえじまてつお氏推薦。氏は目黒警察署物語をおもしろいといった。

20pで「兵力の集中投入」を進言するところから胸騒ぎがしてた。ちょうど1980年ころ買って積んでおいた米海軍の理論的指導者で東郷艦隊の秋山参謀の師、アルフレッド・マハンの「海軍戦略」を紐解きはじめたところだったが、ここにも集中の原則ということが書いてある。佐々淳行氏は香港の英国政庁から学んだようだが、孫子の三篇には彼我の兵力の状況によって戦い方、逃げ方を書いてあるが、能動的にそのようにせよとは書いてない。日本は孫子の兵法など、君子に仕える無責任なコンサルタントの教えの悪弊にそまっているのかもしれない。マハンの教えに従った日本はロシアを破ることはできたが、その後の日本は戦いの原則を守っていないのでは?

アボット・コステロが教えてくれたリクイッド・ナイトロジェンは第二次大戦を舞台にした最近の英国映画「イングリイシュ・ペイシエント」にでてきた。なるほどと思ったことを覚えている。

登場人物で国松孝次というのがいるが、これは大学同期で民族系石油会社の取締役をやった藤田三男氏と高校同期だとかきいた。藤田氏に聞いたら殉職した2人の警視庁の職員のうちの一人、高見繁光警視正の息子さんは この石油会社に入社したので国松君に御礼を言われたことがあるそうだ。亀井代議士が警察出身とは知っていたがここに登場するとは知らなかった。

救出された牟田泰子さんは事件後、C社の軽井沢役員保養所の管理人を永らくしていて、大変お世話になった。銃弾の下をかいくぐって無傷でのこった河合楽器のエレクトーンなどもあった。牟田泰子さんは自分のために2人も警官がなくなり、その後のマスコミの無理解な批判に傷つき、一生重荷を背負っているという雰囲気をもっていた。ご主人はそれを理解して、守ってやっているという大変魅力的な夫婦であった。

佐々氏はカッコ良すぎる。官僚でありながらその組織の弊害も平気で書けるのは現場の実体験の裏付けがあってのことで、このような体験をさせてもらった氏は素質もさることながら幸運な時期に生まれたとおもう。本を読んでもいないのに、場面を知っているのだからTVでみていたのであろう。I記者のいるA紙とは朝日であろうか?最近は大分偏向はすくなくなったと思うが、朝日の社会面は思い込みが激しくひどいものであった。佐々氏は資料をしっかり保管していたのであろうが、人の名前が沢山でてきて、ここらへんも人心掌握術かなと思った。


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