読書録

シリアル番号 425

書名

ゴッホの遺言

著者

小林英樹

出版社

鰹報センター出版局

ジャンル

伝記

発行日

1999/4/18第1刷
1999/7/2第3刷

購入日

1999/07/03

評価

朝日新聞の書評で読もうと動機つけられ、近くの鎌倉市図書館に依頼して購入してもらった本である。半信半疑で読み始めたが、1/3程過ぎてから一気に読んでしまった。

著者は画家であるが、ゴッホが弟のテオに出した「アルルのゴッホの寝室」という絵画について手紙に添えられたこの絵のスケッチが画家の目から見て贋作くさいと3年前に直感した。書簡集を調べ、世界中に散在するゴッホの絵を観て回って発見したゴッホの自殺の真相を見事に推理した力作である。

贋作者はテオの妻ヨハンナ・ヘシナ・ボンゲルと推理してゆく過程が説得力ある。

ヨハンナ・ヘシナ・ボンゲルこそゴッホ、テオ無き後当時無名のゴッホの作品と書簡集の価値を信じ、守り、伝記を書き、後世にゴッホの偉大さを伝えた最大の功績者であるが、ゴッホの自殺の真相に関しては真相を伝えなかったばかりでなく、捏造したとの弾劾の書である。

もしそうであれば、世間に流布しているゴッホ像は変わる。

ではなぜ彼女はそうしたのかの推測も含め、世界に発信し検証を受けてほしい貴重な発見である。

なぞ解きに広島美術館所蔵の「ドビーニの庭」が重要な役割をはたす。


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