読書録

シリアル番号 1365

書名

東大話法と原発危機 傍観者の論理・欺瞞の言語

著者

安冨歩

出版社

明石書店

ジャンル

経済学

発行日

2012/1/15第1刷
2012/2/20第4刷

購入日

2019/03/04

評価



友人加畑氏から借りる。

東大話法は2012年に出版された本だ。京大の経済を出た著者安冨歩氏は住友銀行にはいったが嫌毛がさしてやめ、大学にもどって学び直し東大の先生になっ た人である。その彼が経済学は欺瞞の学問だという。私もかねがね役立たずの学問だと思っていたので思わず引き込まれる。彼によると経済学は希少性を 前提にしている。モノが不足すると価格がつく。もし物があふれていたらタダになるからモノの価値を論ずる経済学は成立しないことになる。経済学が希少性を認めれば熱 力学第二法則も認めるという立場になる。希少性を認めれば情報にはコストがかかるということになる。すなわち情報を集めてからする人間の意思決定にはコストがかかる。実際 私が支払うで電力費は月6000円台だが、インターネットとTVに支払う金額は1万円を越え、新聞は4000円台だ。とこ ろが経済学では人間は最適解をやすやすと出す存在であると仮定している。すなわち最適解をタダで出していると仮定し ているわけでここに欺瞞がある。

経済学はアダムスミス以降この前提できている。計算機科学では巡回セールスマン問題といって最短距離を求める計算には計算量爆発という難関があるのは有名だが、これをコストを掛けないで可能と仮定しているわけ。

そういえばこんな大欺瞞を抱え日本で市販されている無線に繋がらないナビは現時点どこで混雑しているかわからないので道路はつながっているはずとと言って いるに過ぎない役立たずだ。これを信じている日本人も同じ。しかしグーグルのナビはちがう、スマホユーザーの利用状況からリアルタイムの道路混雑情報を集 めてパス毎の所要時間を計算して最短時間ルートを教えることができるのだ。た教育をうけた人間がデタラメになるのは自明のこと。

その結果、平成21年度の文部科学省の科学研究費補助金は527億円に対し原子力関係経費は4557億円です。(米国の軍事研究費は15兆円)なぜそうなったかと言えば中曽根と正力2人が力ずくで原子力に予算をつけ、森永晴彦先生のような核物理学者の反対を押して米国の録でもない原子炉を輸入したことに始まる。結果、原子力に係わる人士は金と権力と魂を交換したいわば「魂を植民地化された人々」なのだ。

森永先生は結局ドイツの工科大学の正教授になって日本に帰ることはなかった。そして原子力予算を獲得し、権力をにぎった核物理を学ばなかった人々がそれを 維持するために駆使するのが東大話法というものだ。なぜ東大がついているかというとこの権力を持った人々には東大卒が多かったかったからだ。森永先生も東大物理卒だが、 東大話法を使う必要ないドイツで一生をまっとうされた。6月4日に偲ぶ会が予定されているが私は地球の裏側のフランスへの旅のための安切符を買ってし まったので失礼するハメになった。

アイゼンハウアー大統領は米国には軍事予算に係わる金と権力のために魂を売り渡した軍産複合体があると指摘したが、日本の原子力複合体も同じルーツを持 つ。同じように人為的気候変動複合体の成立も同じ因果関係にある。これはヨkai ーロッパ発の恐怖症にその根っこがある。英仏海峡の両側にある巨大な白い断崖は 温暖期に海水面が今より270m高 かったとき、イングランドの東半分とパリが水面下に沈み、円石藻などの化石が海底に積もってできた未固結の石灰岩からできている。二酸化炭素はカルシウム を含む岩石に吸収される傾向があるため、地殻変動と雨水による浸食作用により顔面がリフレッシュされることにより長期的には減少傾向です。こうして氷河期 が始まって 海面が下がり、浅い海底にあった英国とフランスは海面上に現れたとされている。ヨーロッパに人為的温暖化恐怖症があるのはこの国土喪失という恐怖感があ るためだろうか。

しかし海洋プレートに取り込まれた二酸化炭素はマントルで加熱されてガスになり、噴火という形で再び大気に出てくる。海水も岩石に取り込まれてマントル に沈み込み、5億年後には海は消えてしまうとされている。健康に直接関係ある有害物質の排出は当然規制しなければならないが、人類が二酸化炭素排出規 制をしたところで気候変動を防止できると考えるのは神を冒涜する行為なのかもしれない。不可能な予防に賭けるより、可能な適応策に徹するべきではないか と私は考えている。

最後に著者は人間も含め生物が生きるためには増大したエントロピーを宇宙に捨てなければいけない。二酸化炭素をそれを多少むずかしくしているといって、生物が許 容できない放射性物質を多量に製造する原子力をつかうことは生物とって危険であり、決して許されることではない。それを言いくるめるのが東大話法なの だ。

そのチャピオンとして代表として鈴木篤之氏と香山リカを挙げている。鈴木篤之氏は東大話法規則のうち、
@自分の信念ではなく、自分の立場に合わせた思考を採用する。
A自分の立場の都合の良いように相手の話を解釈する。
B都合の悪いことは無視し、都合のよいことだけ返事をする。
C都合のよいことがない場合には、関係のない話をしてお茶を濁す、
Dどんないい加減でつまじまの合わないことでも自信満々で話す。
Fその場で自分が立派な人だと思われることをことをいう。
L自分の立場に沿って、都合のよい話しを集める。
M羊頭苦肉。
Oわけのわからない理屈を使って相手をケムに巻き、自分の主張を正当化する。
Pああでもない、こうでもないと、自分がいろいろ知っていることを並べて、賢いことをみせる。
Qああでもない、こうでもないと、と引っ張っておいて、自分の言いたいところに突然落とす。
R全体のバランスを常に考えて発言せよ。
を見事な芸と言わざるをえない。
しかし精神科医の香山リカは謝罪するフリ見せる。
S「もし○○○であるとしたら、お詫びします」。と言って謝罪したフリで切り抜ける。

2019/3/14に脳卒中で倒れたため、結局、6月4日の偲ぶ会は欠席しました。「ハラスメントは連鎖する 「しつけ」「教育」という呪縛」と評価され今、巨大書店で、とんでもない高値になっているとか。 なぜ日本の経済力が低下したのか!? どうして景気が好転しないのか!? 問題は金融ではなく産業政策にあった。

 2019/7/4


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