読書録

シリアル番号 1325

書名

歴史エッセイ 二人の武将

著者

新田次郎

出版社

小学館

ジャンル

歴史

発行日

1997/7/10第1刷

購入日

2018/02/25

評価



鎌倉図書館蔵

S.K.おすすめの「栄光の岸壁」を借りに鎌倉図書館に出向いたが、在庫がなく、代わりにこれを借りた。『栄光の岩壁』の主人公のモデルは芳野満彦という日本人で、はじめてマッタ―ホーン北壁を征服した男をモデルにしたもの。東京の谷中にある富士見坂で生まれた。

私にはとても登れる山ではないが、憧れてわざわざツエルマットにでかけてゴルナーグラードからツエルマットまでウンターテオドウル氷河を横にみながらダウンヒルしたこともあった。

結局、芳野満彦と巡り合う運は無く、この本を選らんだ。司馬遼太郎の歴史物より論理的で説得力がある。武田信玄と上杉謙信の人物評が的確とおもっていたら 小説「武田信玄」を書いている専門家のようだ。司馬遼太郎がまだ記者だったころ、新田に武田信玄について何か書いてくれを依頼したら、「時間が無いか」 と断られたという。藤原正彦氏がどこかにかいていたのをS.K.が記憶しているという。

司馬遼太郎は結局、武田信玄について書かなかった。新田を越えるものは書けないと認めたのであろうか。

山本勘助は信玄の軍師などではなく、忍びにすぎなかった。

勝頼は凡将ではなかったという。

信州の女の凄さをいくつか例をあげて解説。

@高遠城の重臣、諏訪勝右衛門の妻、「はな」は薙刀を使わず刀を使って何人も討ち取った。決して自殺的な戦いはせず、引き寄せては切った。最後は鉄砲に倒れた。信州の女はだいたい理屈っぽい。

A松代藩が狂犬病にかかった犬退治のために懸賞金をつけたとき「かつ」という17才の百姓女が鎌一挺で退治した。佐久間象山は「かつ」の賢さにほれて妾に欲しいと交渉したが妾ではいやだと断った。感心した象山はほうびとして絹一匹を与えて妾とは二度と言わなかった。

B日本で最も強い女は木曽義仲の妾となった巴御前で伊那の産である。

C新田次郎の妻(藤原てい)はやはり信州の女だ。ものすごく気が強い。

作家(本名・藤原寛人)が富士山測候所の所員だったころ、富士から下山して愛鷹山塊縦走中、遭難騒ぎをおkしたことがある。これは「蒼氷・神々の岸壁」に収録された「蒼氷」に生かされているようだ。


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