読書録

シリアル番号 1318

書名

ギリシア人の物語 III 新しき力

著者

塩野七生

出版社

新潮社

ジャンル

歴史

発行日

2017/12/15発行

購入日

2017/12/21

評価



2015年に始まったギリシア3部作の最後。

2017/12/21の山木会参 加と下谷七福神めぐりのため上京の折、神田神保町の三省堂で購入。同世代の塩野の作品はなぜか気に入って、いままで「ローマ人の物語」15冊を含め、34 冊購入した。1冊3500円するから10万円弱貢いだことになる。多分、この作品が最後になるといっているので、財政的には救われた。

5日で読破。

中近東全てを歩いたわけではないが、若きアレキサンダーの東征を世銀のコンサルタントしてトルクメニスタン内部を這いずり回ったことを思い出しながら読破。人と風土は切り離せないものなんだなという感慨。でもとても痛快で面白かった。

2000年前と現在の人の心に大きな差はない。ピラミッド型階層構造なんてものは静的なもので、アレクサンダーをネットワークのノードに見立てたニューラ ル ネットワーク構造が動的な強さの本質なんだろうなと思う。だから騎馬軍団長にして学友のフィロータスがアレクサンダー暗殺の噂をアレクサンダーに報告しな かったと知ったとき、アレクサンダーはフィロータスとその父にしてファランクスを指揮するパルメニオンを粛清した。4万の兵を束ねるのはたった一人の男と いうネットワークが機能して20万のペルシャを壊滅させただけでなく、その後の覇権維持の組織を作り、アレクサンダーがマラリア に倒れたのちも300年にわたるヘレニズム時代を開いたのだ。

ヨーロッパ文明の基調はこのヘレニズムとヘブライズム(ユダヤ教・キリスト教)にあるというのは妥当だという気がする。だからアレキサンダー大王なのだろう。


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