読書録

シリアル番号 130

書名

カオス

著者

合原一幸編

出版社

サイエンス社

ジャンル

サイエンス

発行日

1990/9/10初版
1993/12/10第5刷

購入日

1994/03/03

評価

カオス理論の基礎と応用。

入門教科書。

早稲田大学の相沢洋二はハミルトン力学系におけるカオスとトーラスが白眉。古典力学でのエルゴード論的確率概念であって量子力学の確率概念とは異質である。エルゴード的とはある物理量に対して、長時間平均とある不変測度による位相平均が等しいという意味。

可積分系では、分離された各々の変数それぞれが互いに独立な因果則(力学的発展方程式)に従っている。一方、近可積分系では、決して独立な因果則への分解はできない。個々の因果則は、互いに他との相対関係でのみ意味を持つ。出現したカオスの大きさ(相空間での広がり)の割合を因果則の分離の困難さ、あるいは、相互依存の程度と考えることができるのではないか。

確率的力学の発生は因果則の分離不可能性に由来する。

「確率」とは、我々の無知(または知りえない不確定な要因)に由来する偶然の概念ではなく、力学という決定論に支配される必然性の一つの概念であるといえる。

Rev. June 3, 2011


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