読書録

シリアル番号 010

書名

利己的な遺伝子

著者

リチャード・ドーキンス

出版社

紀伊国屋書店

ジャンル

進化論

発行日

1991/2/28初版
1994/4/1512刷

購入日

1995/12/10

評価

原題:The Selfish Gene by Richard Dawkins

一世を風靡した名著。ネーミングが優れていたが誤解されやすい。

2003年この本を探したが、みつからない。誰かに貸してそのままになったのかどうか。2005年、息子の書庫から再発見。

主旨は「個体は遺伝子がそのコピーを複製させるための単なる乗り物(ビークル)と認識すれば生物の行動様式がよく理解できる」というものであったと覚えている。English Quotation Serial No.769 人間も生物ですから例外ではない。ただ頭脳が発達した分、遺伝子がそのコピーを複製させるための個体としての利己的行動を抑制して遺伝子のコピー製造を最大化させる遺伝子外利他的遺伝子、即ち宗教、掟、法体系、文学、性善説などを含む思想を発達させ、伝承(遺伝子外遺伝子のコピーそのもの)しているのだろうと愚考している。宗教、掟、法体系、文学、性善説などを含む思想の伝承そのものが遺伝子の目的となるところがあり、環境が変わったら有害となる遺伝子は淘汰で排除しなければならないのもまた事実だ、目下、日本はこの有害な遺伝子外遺伝子の自然淘汰過程にあると私は認識している。即ちグローバリゼーション環境下でそぐわない規制、官僚統制、腐敗した教育制度などを排除しているのであろう。

この本にはR・A・フィッシャーの名前が頻繁に登場する。1900年にメンデルの遺伝法則が再発見されて、生物個体の性質が遺伝法則に従い離散的に変化することが新鮮で、生物の集団が進化により連続的に変化するというダーウィンの自然選択説は分が悪かった。そこにフィッシャーが統計学をひっさげて登場し、個体レベルでみれば、不連続な形質の変化も、集団を単位と考えれば、その中の形質の頻度の分布という連続的な量としてとらえられると説明した。両者は補完的な関係にあり、<集団と個>の対立を解消した。


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