日本政府は原発輸出に熱心で、炉メーカーもそのように見受けられる。
福島級の広範な汚染事故時の補償リスク
なかで最も無謀なものは東芝がWHを買収して米国に原子炉を建設しようとしたことだが、日立も英国のPFI制度を利用してウェールズに自前の原発を建設・
所有・運転・して売電収入で償還しようとしていることである。
ところが万一、福島級の広範な汚染事故を起こせば10兆円程度の補償リスクがあるにもかかわらず、保険の上限は2,000億程度でである。炉メーカーは補
償リスクをすべて引き受けざるをえない。
この点、賢いのはGEで、契約条件で福島事故の責任は一切負わないとということになっている。日本のメーカーは受注に熱心なあまりはじめから請負けで、弁
護士を立てて、そのような免責条項を設けるのが苦手である。文系経営者のすべきことをしていない。劣等経営層が会社の上層部にいるからであろうか?
PL補償リスク
日本製鋼は600トンのマンガン−モリブデン鋼の焼き入れ・焼き戻し材でインゴットを作れる能力と1万4000トンの水圧プレス機を持って
いるため、世界の原子炉の圧力容器の80%を製造している。昔は神戸製鋼もつくっていたような記憶があるが、撤退しした。
圧力容器の内面はステンレスで内貼り。割れはこのステンレスがSCCしたと記憶してる。ところでベルギーのドエル原発の炉は何処製だろうか?中国が自力更
生で建設した中国製原発の圧力容器は日本製鋼から購入したのだろうか。
無論、圧力容器に製造上の欠陥が出れば作り直しの義務はあるかもしれないが購入側の運転の仕方もあるし、購入者は素人ではないのでPL(製造物責任
(product
liability))の対象にならないとはおもう。MHIが交換用蒸気発生器をベルギーにも売っているが、米国のサンオノフレではMHIの設計製作の交
換用蒸気発生器の漏れで廃炉になり、このPL責任を問われて1兆円という訴訟がおきている。どうしてこういうビジネス環境で日本のメーカーは
唯々諾々と製品を売ろうとするのだろか?
性能保証、機械補償
このリスクは特に言及するほどのことではない。
March 27, 2016