福島第一の廃炉は不可能
NHKスペシャルシリーズ
「廃炉への道」1-2回シリーズを観た。デブリ取り出しには格納容器を冠水させなければならないが、圧力容器の底が抜けたときに熔けた炉心(コリウム)の一部が微粉末と
なって格納容器の一部に生じた割れ目から水素ガスに混じって噴出し、原子炉建屋内を汚染。また格納容器を貫通する配管内部にもコリウムの粉末が残っているため、自律ロボットや遠隔を使って
も人間が建屋に入れるレベルまでの除染は困難。したがって、いたるところに漏れがある、あの複雑な形状の格納容
器の水漏れを遠隔操作でとめることは現実的ではない。
仮に冠水に成功してもデブリをとりだすのは至難の業。デブリがとりだせたとしてもどうせ保管場所もないわけ
だ。それならデブリ取り出しなどという金ばかりかかり、モーティベーションを阻害する後ろ向きの作業はせず、地下
水の流れを敷地を囲むように築く地下遮水壁を築いて、あとは敷地全てを防水舗装で覆って、空冷施設と追加してデブリを現場で放射線強度が下がるまで数百年放置保管が一番というこ
とになると私は読んだ。
破壊の程度がどちらかというとチェルノブイリに近い。燃料をスリーマイル方式で水中でとりだすなんて愚か。空冷式にして横から取り出すことは更に放射性物質を拡散することになる。出来ないことを御題目にあげるのは不作為の犯罪行為だ。まずは地下水をとめる地中
ダムの建設を最優先順位にすべきと思う。安全神話構築のために血税を無駄使いするべきでない。でも再稼働する手前、原発用地は原状回復できるという神話が
ほしいのだろう。しかし福島の住民が指摘した通り、それは無理と国民が気がついているし、当の東電の廃炉担当者も気が付いている。口にださないだけだ。
そして2020年頃になってほとぼりが冷めた頃、やはり穴をふさぐことができず、冠水は無理だということとになるだろうと私は長年の経験から感ずる。水なしにロボット
でデブリ取り出しなどできるわけがない。炉の中がロボットの死骸でいっぱいになって終わった。オリンピックも終わったので不景気だからここらへんで財政の出番だなどというセリフを考えているのだろう。
東電は金欠病で廃炉の費用も負担できないとして税金を引っさげて政府が駆け付けてくれるのを待っている風情がある。この模様をみていると日露戦争時203高地への無意味な突撃を繰り返すことしか能がなかった乃木大将を思いだす。乃木大将はそれでも人格者だったから明治天皇崩御の時、責任をとって自決した。しかし福島で無駄な努力をさせた責任をとる人間は東電にには居そうもない。原発を動かす資格がないのは明白。
政府のほうにはもんじゅすら廃炉にしない
で甘い汁を 吸おうとしている役人がいる。まして福島第一を廃炉にしての原状回復(グリーンフィールド化)はおいしいテーマだ。といって、いますぐ廃炉に税金を出すとい
うのも再稼働に差し支える。だからしばらく東電を泳がせておけば、そのうちに出番がくるだろうと虎視眈々とチャンスをうかがってい
るように見える。
これでは東電と政府はあ・うんの呼吸で血税を我がものにしようという盗賊集団に見える。同じことを繰り返すおそれのある原発再稼働を安易に決め、かつ廃炉に税金投入する政治家を断頭台に送らない納税者はお人よしと言わざるを得ない。
ウクライナの財政的苦境の一因はチェルノブイリ事故の後始末に税金を使わざるをえないところにもある。そうならないように祈るばかりだ。
April 30, 2014
山口氏より
パチパチパチ・・・・・・
論旨明快・意味明快・読後爽快
とおほめの言をいただいた
April 26, 2014