化学工学会経営システム研究会

第91回SCE・Net 技術懇談会



1.    日 時: 平成26年9月24日(水)                    

2.場 所: 化学工学会会議室
         東京都文京区小日向4-6-9 共立会館5F
         TEL:03-3943-3527
        (東京メトロ丸の内線茗荷谷駅より徒歩2分)

3.    講 演:

(1) 演題  「高速増殖炉の炉心設計からSCE・Netに至る道程」                
講師 横堀 仁氏  SCE・Net 会員、技術士(原子力・放射線/総合技術監理) 元三菱重工業(株)

要旨 演者は原子炉プラントメーカで40年間余り高速増殖炉の炉心設計と放射線関連開発業に従事してきた。その間に発生した原子炉事故は大小様々である が、それぞれの自己の影響によって担当業務に少なからず変化があった。これらの業務変遷がたどることにより、高速増殖炉開発の歴史を振り返り、そもそも化 学音痴の私が、何故に化学工学の専門家集団(SCE・Net)の一員に加えていただくことになったかの経緯を述べたい。

入社したときは原子力船「むつ」は完成していた。炉の形式はPWRだが炉心から複雑に反射してでてくる放射線の遮蔽設計が当時は良くわかっていなかったため、放射線もれをおこしてしまった。

高速炉のもんじゅの燃料棒は20%濃縮にしないと連鎖反応がつづかない。

もんじゅで飯がくえなくなったので経営陣が心配して医療機器をつくれという。そこで陽子を線形加速器で加速し、ベリリウムにぶつけて中性子に変換し脳腫瘍 治療機器開発したが使い物にならなかった。陽子ならレンズ磁場で一点に焦点を結べるのに中性子などバラバラなものを照射したら死んでしまう。マー!MHI もよくこんな無駄な研究していてつぶれないなとあきれた。


(2) 演題 「潮目-海水淡水化技術の開発物語」                            
講師 外山 茂樹 氏  名古屋大学名誉教授

要旨 「国破れて潮目ありき」で始められた海水利用研究は、通産省黄金の1960年代の大型プロジェクトに取り上げられて開花した。成果の活用の段階で遭 遇したのが回教を始めとする多様な文化である。その体験を踏まえ、科学文化論作家代々木壱咲(外山茂樹氏ペンネーム)は原子力利用を含め所論を開陳する。

講師は84才になる元東京工業試験所の研究員で名古屋大学に戻った方の話でした。国費をつかった海水淡水化研究の思いで話でした。開発したフラッシュ法は 米国発のROに敗退した話。だいたい国費をつかうとこいう顛末になるとぴう典型的なお話しであった。この方は机を並べていた堺屋太一より文才があったよ うで、本人いわく堺屋が書いた小説「油断」より女の扱いが自然な小説を1冊ものにし、2冊目を目下書いているとのこと。


4.講師を囲む懇親会:

MHIのもんじゅ炉心設計者横堀仁氏を質問攻めしていたとき、名をなのらなかった人が「原子力なくして日本の将来はない」と断言されてビックリ。 化石燃料をつかいつづけたら人為的温暖化でどうしようもなくなると断言する。温暖化は事実だが、人為的説にしたがい世界の6%のエネル ギーシェアをゼロにしたところで温暖化がとまるとは思えない。適応しか手はないのだ。原子力関係者かときいたら関係ないという。

横堀仁氏は東工大出で炉心溶融事故は今後も発生する。フランスはPWRにヴェントフィルターをつけている。当面つけないで再スタートするがいずれつけると 理解していると言っていた。「ならば安倍首相が(ヴェントフィルター付けずとも)日本の原子炉は世界一安全」といったのはウソではないかと聞くと。「そう なりますね」という。「なぜ原子炉設計者は政治家がウソをつくのを黙ってみているのですか?」とつめよると「ウーム」。「職を失いたくないから黙っている のでしょう」。「まー!良く理解されてますね」

もんじゅの炉心は不透明だが、物をおとしたらナトリウムを抜けばよいとおっしゃる。

福島1号炉のICは遮断弁が閉じて開かなかったことになっているが実はB系統があって、それは開いていたのだと後でわかったと言って笑っていました。こん なことどこにもかいてない。

September 28, 2014


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