日本の観光業の国際化について

日本は戦後、世界の製造業の中心として経済大国となったが、歴史の必然で多量生産を中心とするこの地位は中国にゆずることになろう。むろん高度技術産業は生き残れるかもしれないが、全国民に職を与えることはできないであろう。同じ運命を経験した英国、ヨーロッパはこの余剰人口を観光業などのサービス業で吸収している。世界をリードした文化遺産が世界の人々を魅了するとともに旅行者にたいするサービスが行き届いているため、観光業は立派な産業となっている。それに引き換え、旅行者受け入れ数で日本は世界で35位という。それくらい日本の観光は魅力がないらしい。日本はヨーロッパ、中国などの平原にない美しい山岳を持っている。環境整備すれば魅力がでてくると思われる。グリーンウッド氏が旅行者として直接経験した観光業の国際化に必要な要件を列記すると。

(1)英国、ニュージーランド、米国では旅行者が病気や怪我にあっても保険で無料である。かって英国滞在中に夫婦でインフルエンザにかかったが、抗生物質投与をはじめ医療費は無料であった。米国ではどういう仕組みかやはり無料であった。ニュージーランドでツーリング仲間が骨折したが、この手当ても全て無料である。(厚生省担当)

(2)まれに有料橋があるが、高速道路はほぼ全線無料である。現行制度ではレンタカーなどで自由に日本を楽しんでもらう障害となろう。北海道などでは高額な料金を嫌って、日本人ですら使ってない高速道路が沢山ある。無料化すれば一般道にながれこんでいた車が高速道路にも流れ、一般道の渋滞も解消されるし、日本全体の流通コストもさがり、製造業の国際競争力もでてくるであろう。(建設省担当)

(3)米国など田舎では電柱も見られるが、英国、オランダ、デンマークは高圧送電線を除きすべて埋設ケーブル化していて、景観が美しい。 特にオランダは干拓地ですら埋設ケーブル化している。鎌倉などは電柱が狭い路地に林立しているため、その狭い路地をタクシーがスラロームしてまるで、インドネシアの貧民窟のある裏露地を走っているような錯覚を覚える。 鎌倉ではユネスコの歴史遺産に登録したいという動きもあるようだがまず電柱の撤去からはじめねばならないと思う。(地方自治体担当)

(4)Bookings NLのようなホテルが斡旋料を負担するインターネット経由の国際化され、統合化された予約システムはBookings JP位でそれもメジャーな都市のビジネスホテルのみが契約している。(温泉旅館など受け入れ側が国際化してないという問題があるのかもしれない)

(5)Binennlandのようなインターネット経由の国際化され、統合化された列車・電車などの乗り換え時刻表は存在しない。(JTBが抵抗勢力ではあるが、少なくともJRや私鉄が自分の時刻表をインターネットに掲載しないのは理解できない)

今、ヨーロッパはかっての日本の農協さんにかわって、中国人やロシア人の観光客であふれている。潜在需要はあるのだ。政府も観光立国を目指すとようやく目覚めたようだが、縦割り行政の下で弱体な石原観光担当大臣がうまく解決できるのか疑問だ。すくなくとも高速道路の無料化を公約した民主党が政権をとるのを支援しなければ、観光業の国際化もないであろう。

2003/10/16


(3)の伝染地中化に関してはようやく2009年になり国交省が無電柱化を基本方針にすることを定めた。本ページで提案後5年かかった。無電柱化はロンドンパリ、ボンで100%、ニューヨーク70%以上、東京都31%、大阪府10%、全国平均13%という。

Rev January 8, 2009


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