第16回
自由人のエネルギー勉強会
2016年11月23日
神田学士会館 302号室
司会:武田曉(素粒子論、脳科学)
殆どの脳機能は意識に上らずに進行する。現代人間科学のセントラルドグマ 人は自分のことも良く分からない
フォン・ノイマンはギリシャ語やサンスクリット語が歴史の産物であり絶対の必然性がないように論理学や数学も歴史の産物であり、たまたま出来た産物と見る
のがたぶん正しい見方である。数学はいわば二次言語である。脳の中枢神経系には根源の一次言語があり、数学もそのうえに構築された言語のひとつに過ぎな
い。
挨拶: 森永晴彦(ミュンヘン工科大正教授) 五一五事件目撃者(94才)としては日本の指導者が好戦的性格であるため、戦争の危惧を持っている。ドイツ
人で友人たちにこの危惧を伝えると、彼らは戦争を心配していない。その理由はメルケルが戦争嫌いだからという。
青木一三: 「ジャック・アタリの21
世紀の歴史」 続き、
その後のエネルギー事情に関しては日本は新規な太陽電池、安価な蓄電池、常温核融合研究で、AIの分野で後れをとっている。もし、これらの新技術が成功
し、分散発電が普及すれば経産省が保護する電力ビジネスは崩壊するだろう。その原因は教育というより、電力事業を過保護することにのめり込む政府と、大企
業では知的クリエーターが阻害され、ベンチャーに資金を出す資本家が皆無であることが原因。
常温核融合に関しては、荒井氏が「核系に対峙するレプトン系のムーオンという粒子だ。レプトン系は電子、ニュートリノ、ムーオンなど。電子とムーオンはと
もに おなじ −eの電荷だが、後者は200倍近い質量をもっていている。重水素やトリチウムの2体でこのうちの電子のひとつをムーオンにうまく置きかえ
ると換算質量の効果で2体の核同士が接近する。ムーオンの質料がおおきいので電場の遮蔽効果があるとして、クーロン斥力を克服するという考えがでてくるよ
うです。ボア径のスケールは10E-10
メートルのオーダーです。(そういう意味では核物理ではなく通常化学での射程の世界)原理的には核融合の可能性がでてきます。核融合そのものとしての
deepな融合でなくても核系の要素の配位構造変化くらいは(つまり共鳴)ありうるようにみえる。ナノ材料技術が長足の進歩をとげてきましたからボア径ス
ケールの原子集合体の原子配位の構造制御も可能だから、この上に、ムーオンと(重水素+トリチウム)アルファ粒子系の反応の場を設計することも在り得る。
パラジウムやジルコニウムなど金属のナノ構造に焦点が集まる。考え方は、基本的には、医薬分子設計での鍵と鍵穴のレセプター理論と同じ考えかたと見た」
教育の限界についてはまず遺伝子分布が正規分布のため、人材は貴重なのだが、日本はイスラエルや米国に比べ、才能ある人間をうまく活用できない社会であ
る。教育に関しては子供の動機付けは友人関係が大切。つねに仲間内で評価されるような仕組みをうまく作ること。世界一の成果を上げているフィンランドの教
育のように宿題をださないこと。脳は遊ばせてやれば生き生きとなり、よく覚えるのだ。日本はこの真逆を行っている。
井上忠雄(NBCR対策推進機構理事長):東アジアの国際情勢と自衛隊の対応
(1)最近の中国の軍事情勢と脅威
(2)北朝鮮の軍事情勢と脅威
(3)自衛隊の対応
利渉弘章(元テストパイロットにして航空自衛隊幹部学校長):抑止の定義と抑止力の構成要素について
1.抑止の定義と抑止力の構成要素
語源(Deter)による定義:思いとどまらせる力
グレン・シュナイダーによる定義
バーナード・ブロディーによる定義
ヘンリー・キッシンジャーによる定義:最大限のリスクを相手に与える技
アンドレ・ボーフルによる定義:達成しようとすることは心理的なものである
2.抑止力の構成要素のモデル化
モデルの例としてスピン特性判別の運動方程式をあげた。
モデル方程式例
核兵器を含めない在来兵器抑止力=関数(侵略国の目的達成度、侵略国のコストの逆数、侵略国の判断の逆数)
ここで
侵略国の目的達成度=関数(侵略国の在来兵器侵略意図、被侵略国の、領土、経済力技術力、文化、軍事力)
侵略国のコスト=関数(被侵略国の在来兵器の量、質、多様性、継戦能力、識別能力、迎撃能力、
侵略国の判断=関数(被侵略国の在来兵器による拒否意思、被侵略国の対侵略国意思疎通能力、兵器残存性)
3.モデルの再統合による一般化
4.抑止力の維持の観点から昨今んぽ状況についての懸念
5.抑止力についての教育と啓蒙の必要性
質問:抑止力としては、ミサイル迎撃では心もとない。米軍に依存している攻撃力を核兵器は米軍依存として、通常兵器を運ぶ潜水艦はすでにあるが、クルーズ
ミサイルを持つ必要があるのでは?
回答:イラク戦争で使われたクルーズミサイルはGPSと地上地形図で決められたコースを飛ぶ兵器ですでに古い。むしろ、いま米軍が中東でつかっている宇宙
無
線通信網を使う、遠隔操縦するドローンが必要。ただ通信衛星が破壊されると宇宙無線通信網も失われるため、未来的には人工知能搭載自動操縦兵器を開発しな
ければ抑止力は維持できない。
コヒーブレイク
15:30
石川和枝:光の三原色
LEDの赤、緑、青の3色の加色混合実験はピンポン玉の散乱を使うと上手くゆく。人の網膜はこの3色を感ずる細胞を持つが、ニワトリは紫を感ずる細胞を含め4色を見ている。
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November 24, 2016