”海外エンジニアリング会社”奮戦記 

2008/11/26

石田耕

元NTTインターナショナル 現NTT東日本ー東京南株式会社取締役・経営責任者

旧電電公社が真藤社長の下、民営化したとき、NTTインターナショナルはエンジニアリング会社と商社の出資を受けて創業した。公社時代は利益をあげることを目標としたことがなく、よいものは金に糸目をつけず使うことになれていたため、新設の企業の赤字はどんどん膨らんだ。

またリスク管理ができていなく、契約も甘いものであった。特に海底電線敷設工事では敷設船が台風に巻き込まれてケーブル敷設アームを切断し、14億円の損失をこうむるなどの経験をした。

NTT本社で社会保険庁の巨大システムを構築していた最も優秀なエンジニアが売り込んだ某国の情報通信システム開発は当の優秀なエンジニアをアサインすることができず、代わりに石田耕氏がピンチヒッターに駆り出され、なんとか仕上げた。

子会社は本社の経理システムに依存していた。本社の会計システムは年度末にしか損益が見えてこない。子会社の経理システムを進行ベースにするべくERPシステムとしてSAPを使っては独立のシステムを構築した。SAP社はしかし基本ソフトが更新される度に旧システムを使えなくするなどあこぎな商売をするのですすめない。中小企業向けなら「勘定奉行」で充分。 このほかISO9000認証取得と安全管理機能を強化した。

NTTインターナショナルが黒字化するのは特許に保護された光コネクタのファイバー先端切断・研磨部品の輸出によってである。

NTTはATTについでいち早く民営化をしたため、各国の電話公社が民営化するための情報通信システム開発はやがておいしいビジネスとなってNTTインターナショナルは本体であるNTTコミュニケーションズに吸収されてしまった。

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November 27, 2008


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