バイオ燃料

2008/1/23

佐藤正則

月島機械 佐藤・バイオ技術部次長

要旨

木材廃材のセルローズやヘミセルロースを希硫酸などで加水分解して糖化し、セルローズから得られたグルコースなどの六炭糖は酵母を使う発酵法でエタノールにし、ヘミセルロースから多く得られるキシロースなどの五炭糖は遺伝子組み換え菌でエタノール発酵させて自動車燃料にする。

 

背景

バイオ燃料 としては一般廃棄物などを焼却せずに嫌気的にメタン発酵させること、廃植物油とメタノールから脂肪酸メチルエステルを作り、ディーゼル油とすることもここに含まれます。今日は家屋の廃材からエタノールを製造する技術について説明する。

年間500-600万トン発生する建築廃材は集荷にコストがかかるので、アルコール原料にしても採算がとれなかった。しかし家屋の廃材をキチット管理する法律ができたおかげで廃材の集荷コストが低下しただけでなく、処理費というおまけまで付いてきたこと、石油の価格が上昇したことで採算に乗るようになった。

砂糖工場も熱効率が向上してバガスが余るようになったのでこれもアルコール化しようという動きにある。

 

技術

ブラジルは砂糖黍原料であるため、そのまま酵母発酵すればよい。米国のバイオエタノールはトウモロコシ澱粉を原料としているのでアミラーゼによる糖化工程が余計に必要である。

廃木材はセルローズ、ヘミセルローズ、リグニンなどから構成されており、酵素での糖化は今のところコスト高。したがって希硫酸や硫酸で加水分解する必要がある。希硫酸でマイルドな150oCという条件で加水分解するとまずヘミセルローズが分解し、五炭糖のキシロース、アラビノースと六炭糖のグルコース、マンノース、ガラクトース、グルクロン酸の混合物になる。これは遺伝子組み換え大腸菌で発酵させ、エタノールにする。

次に180-2400oCというよりきびしい条件で加水分解するとセルロースが分解してグルコースになる。これは酵母で発酵させてエタノールにする。

希硫酸による分解では副反応も生じ、キシロースがフルフラール、グルコースが脱水中間生成物であるHMF(ヒドロキシメチルフルフラール)になり 、最終的にタールになって収率が下がる。

ガソリンにブレンドするために蒸留後、水分はモルシーブで0.5%まで脱水する。

収率は1トンの廃木材から200リットルでコストは100円/リットル

収率は1トンのバガスから250リットルでコストは60-70円/リットル

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January 24, 2008


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