福島原発汚染水処理と廃炉

 

本記事はメルトダウン後発生した放射性物質で汚染された排 水の処理とその後の廃炉および住民補償に関するものである。


資金捻出のための法的処置

米国はプライスアンダーソン法があり、民間補償でカバーされない分は政府保証である。とはいえ米国は約1兆2800 億円、ドイツは約3500億円と、賠償額に上限はある。 日本では建前として事故は無いが建前だったため、日本原子力保険プールや政府保証の上限は1,200億円だ。原子力機器のメーカーは設計上のミスがあった としても責任を負わないとされている。(GEやウエスティングハウスのライセンス条件)そこで事故後、9兆に達する補償金や廃炉費用の資金確保のため、経 産省があわてて2011年、 (民主党政権時)、法律第94号、旧:原子力損害賠償支援機構法を成立させ、官民共同出資の原子力損害賠償・廃炉等支援機構 Nuclear Damage Compensation and Decommissioning Facilitation Corporation)という認可法人を作らせた。ここに拠出した政府資金は底をつき、いまは政府保証の下に三菱UFJモルガンスタンレー証券からの借 入金で賄っている。これで補償金と廃炉費をまかない、30年という長期にわたって東電が返済するという仕組みを考案した。320億円の凍土壁建設は研究開 発的でこの機 構の目的外のため、やむを得ず税金をだした。モルガンスタンレー証券が貸し込んでいるところが意味深長。東電も東芝もGE系の技術に依存し、そしてGEは モルガンスタンレー傘下なのだ。そして金利など一切非公開です。国家が日銀に国債を押し付けず、外資に借金している形になる。ドイツ銀行の負債量がGDP の20倍といわれて危惧されているがこれは前向きの投資だ。


冷却用循環水は汚染地下水を水処理して再使用

東電はプラントに備わった本来の循環冷却系を確立して循環冷却をしなければ と焦り、タービン室 に溜まった水を排水しようと努力を傾けていたのをようやくあきらめたようだ。

 2011年6月末にようやく仮設の循環システムが稼働し始め、7月2日ようやく安定した。その後の稼働率は70%、処理能力は80%である。 水棺方式にこだわっている頃は、東電は当事者能力を失っているように見えた。これを断念してようやくまともになってきたようだ。

結局、圧力容器と格納容器内にある水溶性放射性物質は殆ど全部出てくるの ではないか。大気に出ないだけ助かっているが海は大変迷惑。いわば巨大な水洗便所の原理だ。この水洗便所はリーク・フリーではないから予期しないところか ら漏れ る。

2013/9現在、全 ての放射性物質を除去する能力をもっていないため、放流できず、建屋地下に流れ込む地下水は循環系にたまり続けている。したがって全放射性物質の除去をす るか流入をと めなければならない。全放射性物質のうちトリチウムの除去は経済的にはできない。したがって好ましいことではないが、規制的には六ヶ所村の再処理プラント と同様に稀釈して海洋放流という手段 を取ってもよろしいということになっている。フランスでも行っていることだ。しかし市民が福島の魚のボイコットを防ぐことはできないだろう。もれてしまっ たトリチウムは時間がたてば大きな海原が稀釈して 助けてくれのだろうが、生物濃縮するストロンチウムは食物連鎖でさかなから魚へと回り続ける。こうして世界を敵にまわすことになる。


water circulation and water treatment

かといって建屋への流入を止めるために止水壁で建屋を囲んで止水壁の内側の地下水をくみ上げれば浮力が働き、山側に地下水が溜まることとの相乗効果で、発 電所全体が海側に地すべりする可能性もある。


海洋放流法定基準

東京電力は下記の告示濃度限度を参考にしてバイパス管理を行うとしている。

       告示濃度限度(Bq/liter)    WHOの飲料水水質ガイドライン(Bq/liter)
セシウム134     60                                       10
セシウム137     90                                       10
ストロンチウム90   30                                      10
トリチウム      60,000                                  10,000

告示濃度とは何か?放射線障害の防止に関する法律施行令に関する平成十二年科学技術庁告示第五号別表1第六欄排液中又は排水中の濃度限度によれば規制値は下記の通り。単位:Bq/cc

134Ce  3x10-1
137Ce  1x101
90Sr     3X10-2
3H        6x101

でストロンチウムとトリチウムは一致するが、セシウムは一致しない。別の告示があるのか?

総量規制はない。福島の場合は最大70トンという膨大な量のため、これを1年間で放出すると4.2兆Bq/yとなる。

魚のセシウム汚染は総量検査が行われていて規制値の50Bq/kgを越える魚は市場にだされない。100Bq/kgを越える汚染魚の発見確率は 2011/3では福島で53%、福島以外では6.5%、2013/7-8では福島で2.7%、福島以外で0.4%と下がっている。しかしストロンチ ウムは生物濃縮もあるにもかかわらず魚に検査は行われていない。それは測定できる場所が水産総合研究センターしかなく、事故後の検査総数は40件だけだと いう。
安倍首相がIOC委員会で港湾内0.3km2の海水はブロックされていると言明したのはウソ。実際には1,2号機取水口間岸壁や港湾内防波堤のシ ルトフェンス内側ではストロンチウムの放出規制値の10倍以上になっているが湾内に自由に出入りする海水で希釈されて湾口では検出限界以下になっているに 過ぎないということが以下の測定データで読み取れる。

採取日時
サンプル・ポイント
Cs134
Cs137
ストロンチウム
2013/9/15(台風前)
1,2号機取水口間岸壁表層
22
47
320
2013/9/15(台風前)
1,2号機取水口間岸壁下層
11
23
190
2013/9/15(台風前)
港湾内防波堤の開口部シルトフェンス内側
27
66
400
2013/9/16(台風後) 港湾内防波堤の開口部シルトフェンス外側
ND
3.7
24
2013/9/9
海水が激しく出入りする港湾開口部
ND
ND ND
2013/9/11
5,6号機放水口
ND ND ND
2013/9/11 沖合1km
ND ND ND
2013/9/11 1,4号機放水口
ND ND ND
単位:Bq/liter  NDは検出限界値未満

どうらや冷却水の放流口には漏れていないようだ。

軽水炉でもトリチウムが生成し、福島第一BWRでは2兆Bq/y、福島第二BWRでは0,98兆Bq/yがベントスタックから大気放散される。泊PWRで は30兆Bq/y、伊方PWRでは57兆Bq/y、玄海PWRでは81兆Bq/yが放散される。(PWRは炉がコンパクトのため、中性子濃度が高く、トリ チウムが多く生成する)これに比較すれば原発1年分程度ということになる。そしてその濃度が高くなるのは北米海岸ということになるのだ。Jonny Rayden作製のシミュレーションによれば




となる。

燃料再処理からのトリチウムを海洋投棄量は原子力安全機構作成の資料によれば

フランスのラ・アーグでは9,950兆Bq/yが大西洋に
セラフィールドでは1,390兆Bq/yを大西洋に
カナダのブルースCANDUでは1,280兆Bq/yをヒューロン湖に

排出されている。六ヶ所村が稼働したら、ラ・アーグ以上放出される。ことになり燃料再処理のほうが問題ということになる。

東電はトリチウムはセシウム134や137に比べ単位Bqあたりの被ばく線量(mSv)は約1000分の1であり、他の放射能物質と比べて安全性が高いことを強調している。しかし多くの学者からトリチウムによる遺伝子への影響が指摘されている。

1954年のビキニ環礁での水爆実験後、水産庁が俊鶻丸をビキニ環礁に出して測定した結果、ビキニより180kmの海水が5,000CPM(1,200Bq/liter)を記録した。マグロの内臓が汚染されていたがこれは水爆爆発時に65Zn が食物連鎖で濃縮されるためと判明した。刺身部分は汚染されないため、顧問団の中心だった東大の三宅泰夫らが環境放射能研究所をつくることを提言したがボ ツとなった。最近の研究では放射性物質は表層ではなく震度300-800mのドーナツ状になって太平洋を循環していることが分かっている。しかし詳しい研 究はされていない。


建屋、坑道内の滞留水


2013 年7月28日、東電は福島第一の2号機海側坑道(トレンチ)にたまった水からトリチウム8,600,000Bq/liter、セシウム 2.35tBq/liter検出されたと公表。

2013/8/15、東電は1号機海側坑道(トレンチ)内汚染水中のセシウムは11,600Bq/liter(事故直後 1490Bq/liter)で2号機海側坑道内汚染水中のセシウム濃度の10万分の1なのは津波の海水で満たされているためとした。

福島第一の専用港内の海水中のセシウムは60Bq/literとし、福 島第一の2号機海側坑道(トレンチ)にたまった水のセシウムは2.35tBq/literとする。これがもれてまず地下水によって稀釈され、その汚染水が 300ton/dで港内に流出し、海水と混ざってさらに稀釈されるとすれば。地下水と海水による稀釈倍率は400億倍となる。

地下水の流入防止

福島は砂礫層の上に立ち、4号機の場所にはかって小川が流れていたという。標高30mの断崖を20m掘り下 げて建屋を作った。従って地下水位は地表から数mである。事故前は深さ10-15mのサブドレンから地下水をくみ上げて海に流していた。さもないと建屋が 浮いてしまうからだ。汲み上げ量は850-1500ton/dであった。しかし地震後このポンプは壊れて動いていない。

2011年10月20日になって過去4ヶ月間に一日当たり450トン、合計5万トンの地下水が建屋に流れ込んで17.5万トンに達したという。

原子力建屋とタービン建屋の地下室のコンクリート基礎やトレンチの割れ目を透過して地下水に入る放射性物質は地下水が陸から海に向かってながれるから地中 ダムを作って阻止し なければならない。海岸沿いの地域では地下水はゆっくり海に向かってながれ下っている。5年くらで地下水はすべて全て海に流れだすだろう。チェルノブイリ の石棺どころのは話ではなく、地中ダムまで作って囲い込まねばならない。しかし東電は地下まで頭が廻らないのか地中壁を用意しているという話は聞こえてこ ない。2013年9月18日の朝日によると2011年6月時点で鋼鉄製の遮水壁の建設を企画し、見積もったところ1,000億円がかかることが分かり、株 主総会への悪影響を考慮して当時の民主党政権の海江田氏の了解のもと発表を先送りを決定したと報道。しかしその後、東電は本件を放置していた。

遮水壁の方式としては矢板方式、粘土壁方式、グラベル方式、グラウト方式、水ガラス方式、凍土方式などがある。凍土方式の場合、地下水に水道(みずみち)ができてしまうとそこが凍結しにくくなる。また海側が先に凍ると建屋への地下水流入が増える。山側が先に凍ると建屋内の滞留水が吸い出されて海に流れる。

東電・政府・報道がトリチウムやストロンチウムは実害がないと言い続けたとしてもベータ線を出すトリチウムやストロンチウムは検査がむずかしく、人々は過 去に裏切られ ているので信用しない。ベータ線を測定するには液体シンチレーション計測法でないと検知できない。プルトニウムはアルファ線しかださないからもっと測定は むずかしい。このように安い計器は市販されていないから検査は信用されないし、風評被害は継続するし、漁業者は困窮し、所有する船の借金も返せ ない。だから地元の了解はとれていない。止水壁のないくみ上げけでは膨大な量の水をくみ上げて地下水位を下げることだから、プラントが側からの汚染水の逆 流もあり、早々に挫折することが予想される。山側も含めプラントを囲む地中壁を設けて地下水が建屋地下に流入することを防止しなければならない。

2013/4/26福島第一原発を手掛けた鹿島建設が凍土遮水壁による地下水流入抑制案をMETIに提案。5月30日政府の汚染水処理対策委員会(委員長 =大西有三・京都大名誉教授)は、建屋周りの地中の土を凍らせて壁を造り水の流入を防ぐ「凍土遮水壁(地下ダム)」が有効とする対策をまとめた。これによ ると建物外周を取り巻く全長1.4キロメートル世界最長の凍土遮水壁を建設するという。地下坑道(トレンチ、トンネル)はこの遮水壁を貫通するため、貫通 部はトレンチ内凍結 管挿入による凍結またはグラウト注入などの補助工法を併用する。モックアップテストでは目視下で挿入できたが、トレンチ内ケーブルなどの間隙にうまく凍結 管を挿入ができるかはやってみなければわからない。また作業員がアクセスできることが条件。冷却水配管を通す地下トレンチ内の汚染水は凍結できないから、 冷却水配管に穴を空けて凍結管を挿入するか全トレンチを囲むように設置しないと意味がない。そもそも私は建屋の地下構造から漏れているのではなく、この地 下トレンチで漏水があり、タービン室に流れ込んでいるのではという疑いをもっている。したがって地下トレンチが凍らないときは全体を囲い込まねば意味はな い。すなわち海側全面に設置せざるをえない。報道によれば建屋周辺だけに凍土壁を構築するとしているが、凍土壁を貫通する地下トレンチを閉鎖することに関 してはまだ未定のようだ。

凍結法の工期は1年。氷雪学会誌1997年59巻3号の 生瀬孝博の地盤凍結工法に地中に縦に直径10cmの凍結管を1m間隔で設置して-20-- 35℃のブライン循環すると1ヶ月で厚さ1mとなり、氷は連続する。2ヶ月で厚さ2mとなるとある。しかし、工事に時間がかかり、向う1年間はじゃじゃ漏 れであることは変わりがない。完全に凍結したら凍土壁で囲まれた区域の地下水をくみ上げて水位をさげ漏水を止めるということだが、いずれにせよ漏れてくる 水は汲み上げ続けなければならないので循環水は溜まり続ける計算になるし、凍土壁で囲まれた区域には浮力も生じるため水平力にずれやすくなり、後背地に溜 まる地下水による水圧での斜面崩壊ないし地すべりによるタンク倒壊なども考えられる。

液体窒素冷却などと聞こえてくるがコスト度外視とはいえむちゃくちゃ。凍れば地下構造物は凍上圧で破壊される。これは根岸のLNG基地で経験した。数十年 かかって地上のクリーニングと地盤の除染をしたあと、冷凍を止めれば汚染水が溶けて再び海洋汚染する。結局氷以外のグラウトなどを使わねばならない。政府 の凍結案もモグラたたきの一つにすぎないかもしれぬ。

凍土は請負業者にとって金のなる木 だ。凍土遮水壁は大規模なもので10年以上の運用実績の例はなく、廃炉まで30-40年かかるとされる福島第1原発で恒久的な有効策になるかは不透明だ。 凍土請負業者アークティック・ファウンデーションズ(米アラスカ州)によると、凍土遮水壁は核兵器用のプルトニウムを製造していた米テネシー州のオーク リッジ国立研究所で使用された実績がある。凍土の専門業者モアトレンチ(米ニュージャージー州)のエグゼクティブ・バイスプレジデント、ジョセフ・ソプコ 氏は「本当に効果がある唯一の手段であることがしばしばある。ほかに有効な手段がなければ、凍土に飛びつくしかない」と述べた。  

2013/8/8 政府の原子力災害対策本部は山側から地下水が1,000ton/d流れ込み、400t/dが建屋に流れ込み、600t/dの半分の300ton/dが汚染 されて海に流出しており、300ton/dが汚染されずに海に流れていると公表。

東電はプラントの山側には井戸を掘って未汚染水をくみ上げ、海にバイパスすることを地元に提案しているが、先にもれたストロンチウムを含む300tonの 汚染水がしばらくしてこの汲 み上げ水にでて来たとき対処できない。タンクエリアもすべて囲むことがベストだが、これは万里の長城を築くような事業となる。国庫から費用がでるとしても 壮大な事業となる。これに成功しても原発は受容されないだろう。

山側で水の汲み上げせずに凍結壁をもうければ地下水の流れをせき止めることになり、水タンクを設置した高台全体が地すべりしないとも限らない。地すべりし ないまでも水がじゃぼじゃぼになって地盤が流動化して地震時にタンクが傾くことがありえる。

2013/9/4に東電は1号機タービン建屋1階の床に穴を開けカメラをいれて地下1階の敷地山側の地中を通る配管が地下1階と接続している部分で、水が 音を立てて流れ込んでいるのを確認し、ビデオと共に発表。配管にはケーブルが通っている。4号機南側にある雑固体廃棄物減容処理建屋の地下にも、ほ かの建屋とつながる地下通路から水が流れ込んでいるのが確認された。流入量と止水策を検討する。

2013/9/27、産業技術研究所の安原正也主任研究員は福第一のある台地は孤立した丘になっているため、阿武隈系の地下水は深いところを流れている。 したがって敷地に降った雨水が地下水となっているのでこの雨水をアスファルトで覆えば地下水は少なくると指摘。1-3号機の建屋は地下水を通しにくい泥岩 の上に立っている。しかし4号機は地下水を通しやすい砂泥互層である。

2014/5/20、福島漁協はようやく地下水バイパスに合意。鹿島建設が行っていた凍土壁の実験は10m四方では成功。規制委員会はいまだ検討中。LNG地中タンクの経験では横方向の凍結圧が地中構造物を破壊する可能性だろう。

2016/8

汚染水の海への流出防止

汚染水が海に拡散しないように遮蔽壁(地中ダム)を構築するハメになると思う。チェルノブイリの 石棺より大規模な工事となろう。

地下ダムは宮古島の飲料水や農業用水確保のために作った地中ダムの工法が参考になるだろう。これは粘土層など水を透過させない地層までボーリング し、セメントスラリーを注入して地中に遮蔽壁を構築する工法だ。

2011年4月東電はポリエステル製厚さ0.5mmのシルトフェンスという素人だましのシートを取水口と港湾内防波堤の開口部に張り巡らせた。

2011年7月末、東電は海側に遮水壁構築を年内に開始。陸側も含め完成は2年かかると発表。

アーニー・ガンダーソン氏はプラントサイトが1フィート沈下している。当然コンクリート基礎のどこかにクラックが入るので汚染水が漏れ出すおそれがあると 指摘。 東電も気がついているが対策は新聞紙を詰めるくらいしか智恵がないらしい。

2013/8/1、東電は2号機海側の護岸の内側90mに深さ2-16mに水ガラスを注入して遮水壁を構築したと発表、念のためもう一列注入すると いう。敷地内の地下水位が上がって遮水壁を乗り越えると新聞は心配しているが、原子炉建屋の地下水位があがれば建屋への地下水漏水量が400/day以上 に増え、汚染水総量が増えて、貯蔵容量不足になるだろう。

2013/8/9、東電は坑道内の滞留水を100ton/dでくみ上げを開始し、順次増やす予定。

2013/9政府が本腰をいれ建屋周辺に凍土壁を 構築するとしているが、凍土壁を貫通する地下坑道(トレンチ)を閉鎖することに関してはいまだ決定打はない。海側への漏出はこのトレンチの継ぎ目と考える のが普通だから。流出防止できるということはウソになる。

2013/9/18の朝日よれば東電は護岸の海側数メートルに遮水壁鋼管矢板を打ち込んだと報道。ただいまだ鋼管には10センチ程度の隙間があり、海水は自由に流れていて遮蔽壁とななったいない。今後この隙間をふさぎ港湾から海への漏出防止を計画しているという。

2013/9/26、台風通過後5,6号機をまとめて仕切るシルトフェンスが外れているのが見つかったと公表。

2013/11/10、トレンチと建屋の接続部分に冷凍管を差し込んで汚染水を凍結。建屋側から汚染水がトレンチに流れ込むのを止めたうえで、 2014年4月からトレンチ内にたまる汚染水を抜き取る。空になったトレンチにはセメントなどを流し込んでふさぐという手順で工事予定。

2014/5/20現在凍土方式は未着工。その後も成功したとの報告はない。

2015/10/27サブドレンからの汲み上げ地下水の処理水の海への放流がOKとなったことを受け、汚染水の海への流出防止のための海側遮水壁 790m を閉め切ったと報道される。締切りは鋼管杭列の間をモルタルで埋めることによって達成。これにより400トンの漏れが10トン程度になると期待される。し かし漏れ量の測定値は公表されていないし、海水の汚染も報道されることはない。締切り鋼管杭列近くのwell pointのくみ上げ量は250t/dでいまだ汚染されている。

2016/8に凍結土壁は完成し海側凍土壁99%凍ったが、建屋地下室への地下水の流入量は当初の400t/dから150t/dayほどに下がった だけで、電力料金は年間20億円に達するという。well pointと凍土壁内部の2つの地下水単純に足せば400t/dとなり、貯蔵タンクが2-3日で一杯になる状況が続いている。地下水は凍土壁の下をくぐって沸き上がってくるわけだから、止まらないのが自然。

汚染水の処理

タービン建屋地下室や海水配管ピットの溜まり水を投げ込みポンプで汚染水を汲み上げ、油分分離後、吸着、沈降でセシウム等を除去し、逆浸透幕で脱塩 後、濃縮した塩水は蒸発缶で気化・再液化して真水を原子炉冷却に再循環する。これを数年間継続 しなければ燃料は取り出せない。吸着法はキュリオン社(Kurion)、沈殿方式 はアレバ社である。地下水は原発を取り巻く遮蔽水壁を粘土層の深さまで建設して水循環で長期間除 洗する。

ハンフォードのキュリオン社の技術は基本的にはゼオライトによる吸着である。この無機イオン特殊媒体は、樹脂を用いたイオン交換プロセスとは違い、分子ふ るいと吸着 剤の役割を果たす。このため塩水その他の一般的な阻害物質から悪影響を受けない。吸着剤はジュール熱でガラス固化で安定化させる。スリーマイル島の実績あ り。ただセシウムしか分離できない。

アレバ社の凝集沈殿法は汚染水にフェロシアン化ニッケルを投入して放射性セシウムを吸着させ、凝集材で沈殿させる方法だ。6月中にアレバ社が設置するとい う。7月から年末までに20万トン処理できる能力があり、531億円で処理コストは210yen/literという。

キュ リオン社もアレバ社も海水の混じった排水で処理能力が低下し、セシウムしか分離できない。そこで2011/8米国大手エンジニアリング会社ショー・グルー プ(The Shaw Group Inc.:以下ショー)の提案するSARRY(Simpified Active Water Retrieve and Recovery System)という第二汚染水処理装置をショーグループ・東芝・IHIが設置し、運転開始。吸着塔は自然循環式セシウム崩壊熱の空冷、水の分解で発生す る 水素ガスの自動ベント除去ができるようになっていて周りりを放射線遮蔽材で囲ってある。吸着材はUOPのIE-96とIE-911を選択。除去程度はアレ バ 社とキュリオン社を合わせた程度。2013年7月30日米エンジニアリング会社、CB&Iは同業のショー・グループを約30億ドル(約2345億円)で買 収することで合意した。そしてショー・グループは東芝とともにウェスティングハウスの株主であったが2012年東芝が買い取った。 2011年7月末、汚染水のROと蒸発濃縮装置(東芝製)2基8/2から設置開始。10月までアレ バ 製含め全7基、処理能力1000トンとなると発表した。

2011年10月20日セシウムしか分離できないため、東電は5,500 人超の従業員を持ち、世界中で操業している放射性廃棄物処理事業大手のエナジーソリューションが開発した設計技術をベースにして、東芝が系統や機器類を仕 上げて完成させた、「多核種除去設備」(ALPS Advanced Liquid Processing System:ALPS) を選定。処理量500kl/dを設置。13/3/30にALPSを試運転したが2013/9現在トラブルで稼働していない。汚染水から重金属やカルシウム などを除去する前処理設備容器 が海水由来の塩化物、前処理用の次亜塩素酸や塩化鉄注入によるステンレス容 器のすきま腐食による水漏れが発生した。発生した廃棄物を収容する樹脂製高性能容器(HIC)の円筒形容器(直径約1.6m、高さ約1.9m)の落下試験 での漏れが 発生。その対策を迫られた。この装置は鉄共沈、炭酸塩沈殿からなる前処理のあと14-16基の吸着塔 をシリーズに通して62種の放射性物質を海水中の放射性物質に関する法定の濃度限度未になるように除去する。吸着塔には、活性炭や樹脂、酸化チタンなど7種類の吸着材を充填。活性炭吸着材の追加で完全には除去できな かったCo-60、Ru-106、Sb-125、I- 129の検出限界値未満を目指す。とはいえ三重水は多段電解法でなければ除去でき分離できないので海洋放流の法定基準60,000Bq/literに稀釈 して放流するしかない。

2013/9/30、ALPSの処理タンクの底に残した仮設梯子のゴムパッドが外れて泥の排出口をふさいで運転再開後22時間で運転停止したと公表。

2013/10/4、ALPSが緊急停止したが制御回路のバグが原因であると発表。

2013/10/23、東京工業大学名誉教授の冨安博氏(現・大和エネルギー研究所技術総括)は東電のALPSの設計思想を批判している。東電は現状の技 術では除去が困難なトリチウムを除く62の放射性核種を、ALPSを用いて規制値以下に減らすとしている。この本当の狙いは処理後のトリチウム含有水を稀 釈し海洋投棄すること にある。東電はALPS 処理済み水の海洋投棄を想定しているので、ストロンチウムと比べて相対的に微量で、危険性の少ない核種も高いコストと手間ひまをかけて基準値以下に減らそ うとしている。そのためにALPSは設備が大がかりになり、完成するまで時間がかかって、ストロンチウム含有水を長期間タンクで保存するはめとなり、これ がもれて海洋汚染をしている。東電はまず沈殿法でストロンチウムを除去してしまうほうがよかったとおもう。ALPSは最も重要なストロンチウム除去のため の工程が合理的に設計されていない。チタン酸塩を 吸着材とする吸着塔の中で放射性ストロンチウムを吸着させることになっている。前処理工程の「炭酸塩沈澱処理設備」でマグネシウムやカルシウム とともにストロンチウムの大部分が除去されるため、結果的に吸着塔の負荷が小さくなっているのでなんとか問題は回避できるかもしれないが、過度にストロン チウムを吸着した場合、放射熱と放射線化学反応 (ベータ線が水に照射して水素を発生)による水素爆発のおそれがある。そ れに爆発のリスク自体もゼロではない。また、ALPSで除去した放射性ストロンチウムなどは、高性能容器(HIC)で厳重に保管するとしているが、ここで も発熱リスクや水素爆発のリスクが存在する。汚染水が漏れた場合の緊急対策としては、撹拌させながら、@塩化カルシウム水溶液と塩化ストロンチウム(非放 射性)水溶液の混合溶液の投入、A炭酸ナトリウム水溶液の投入という手順で対策を講じる。Aの炭酸ナトリウム溶液を投入すると、液は直ちに混濁し、放射性 ストロンチウムは炭酸カルシウムとともに沈澱する。沈殿物は土壌によって濾過されるため、 漏えいした場合でも地下水汚染は軽減される。汚染水が漏れた場合の緊急対策としては、撹拌させながら、@塩化カルシウム水溶液と塩化ストロンチウム(非放 射性)水溶液の混合溶液の投入、A炭酸ナトリウム水溶液の投入という手順で対策を講じる。Aの炭酸ナトリウム溶液を投入すると、液は直ちに混濁し、放射性 ストロンチウムは炭酸カルシウムとともに沈澱する。沈殿物は土壌によって濾過されるため、漏えいした場合でも地下水汚染は軽減される。原発事故から2カ月 後の2011年5月には、清水正孝社長(当時)宛の書簡で、水溶液中で沈澱分離する方法として提案した。その後、担当者から「貴重なご提案ありがとうござ います」という返事があっただけだった。今年4月には下河邉和彦会長にも書簡を送ったが何の返答もない。8月には田中俊一・原子力規制委員長に、汚染水処 理の緊急提案として意見書を送付したが、反応はなかった。東電には化学系が採用されていないので丸投げで東芝に投げる。ところが東芝も電気機器会社なので 米国に設計を丸なげする。そこででてきたのが沈殿と吸着方式を組み合わせたALPSというわけ。この冨安博氏の指摘のように、まず沈殿法でストロンチウム を除去してしまうほうがよかったとおもう。最後に一言。稀釈するにしても大量のトリチウムが含まれているALPS処理済み水を海に捨てることは問題だ。ト リチウムの生物学的毒性についてはさまざまな見解があるものの、無害ということはない。10年間保管すれば、半減する。

2014/3/20、ALPSのB系列が故障し、処理水濃度1/100,000の仕様が1/10にしかなっておらず、900トンの未処理水が処理水タンクに入り、15,000トンが汚染された可能性がある。未処理水340,000トン。

2014/5/20、塩化カルシウムで共沈させる工程でカルシウムフィルターからカルシム微粒子が漏れ出る現象のため、ALPSの3系統全て停止。

処理水の保管

梅雨にはいり、屋根の無い原子炉建屋は殆ど洪水の様相を呈してきた。2011年6月5日現在、溜まっている水の総量は10万トン、毎日の注入量 50トンである。

事故直後鳴り物入りで持ち込んだメガフロートを活用している様子は見えなかった。2011年6月末から汚染度の低い汚水をメガフロートに移送開始し たがその後、このフロートはスクラップにされた。

東電は2011年6月4日になり、8月末に3.2Dx13.5L、100トンの 高濃度廃水用水平円筒型のFRP製タンク100本、低濃度処理水用3.4Dx15.1L、120トン170本をトレーラーで現地に運び、汚染水と処理水を 保管するという。 このタンクは玉田工業の栃木県の鹿沼工場と熊本県の菊池工場で製作し、大成建設が設置する。

後に東電は鋼製横置きタンク、東京機材工業製組み立て式鋼製角型タンクと組み立て式鋼製円筒縦型タンク350基に切り替える。直系12m、高さ 11mである。横型円筒を含め全体で1000基、2013年5月現在貯蔵総量 29万kl。うち25万klはRO濃縮塩水(ストロンチウム、トリチウム含む)で鋼製円筒縦型タンクに保管されている。鋼製円筒縦型タンクのほかにプラ スチックフィルム製の地下貯水槽も作ったが、もれが発見され廃棄された。増設計画は80万kl。

2013/8/8設置済みのタンク容量は380,000ton。2015年まで700,000ton、2016年まで800,000tonまで増量 予定と発表。

2013/8/20東電は350基あるボルト組み立て縦型円鋼製タンクから高濃度放射能汚染水がタンクから300トン漏れ、地盤を汚染し、一部は側溝経由 海に流れたと発表。

2013/8/21規制委員会は放射能の量が国際原子力評価尺度(INES International Nuclear Event Scale)でレベル3相当と発表。これを囲い込むにはあの70万トンのタンクの下の汚染土壌を囲む遮 蔽壁を地下に建設するはめになるのではないか?一段低いところにある原子炉建屋とタービン建屋の地下に凍結遮蔽壁を構築しても意味がないかもしれない。東 電と政府の当事者能力は無いに等しい。

2013/8/22いまだ東芝製のストロンチウム分離装置ALPSが稼働していないため、タンクから漏れた汚染廃水中の放射能核種総量はストロンチウム兆 ベクレル(10tBq)、セシウム20兆ベクレル(20tBq)とのこ と。事故時の総放出量は630,000tBq。350基のタンクの半分だからこの程度。ただストロンチウムは骨に蓄積して生物濃縮 するから魚は用心が必要。仮にALPSという東芝製放射性物質除去装置が稼働してもトリチウムは分離できないので稀釈して海に放流するしか手はないが漁業 者が合意するかどうか?

2013/8/25漏れた東京機材工業製円筒縦型タンクは2011/6に設置し、水張りテストをしたところ、20cm地盤低下し、コンクリートスラ ブに割れ目が出たので、これを解体 し、現在地に2011/10移設した。この時、底板にもあるフランジ部などに歪みなどが生じていたらしく、今回の漏洩に至ったと想定されるという。同じ履 歴のあ るタンク2基も早急に空にし、同型タンク350基すべてスクラップにし、新しいタンクに切り替えると副社長が言明した。敷地が狭くそのようなことが可能か どうか?

円筒縦型形タンクはトラックで運べるように底板も側壁もフランジ継手で組み立てる構造になっている。タンク側壁は液圧を薄板の引っ張り張力でバランスし、 底板は基礎経由で地盤に液圧を伝えることと水密を維持するという設計思想だ。したがって底板と基礎の関係が非常に大切になる。地盤は不等沈下するのが常態 だから、基礎工事は大切になる。時間があればあらかじめ土盛りをして(水分を絞り出して)沈下安定化するのだが、福島の時は時間がないのでコンクリートス ラブでまにあわせた。鉄 筋を入れなかったため、不等沈下でスラブに亀裂が入った。というわけでその場所は捨て別の場所に移設したのだが、その時受けたフランジ部のひずみが原因で フ ランジの気密が破綻したのでは。

神戸地震では地盤の液状化のために多数の円筒縦型のケミカルタンクのほとんどは横倒しになった。発電プラントへの地下水を止めるために周辺に凍結壁を建設 すると、タンク地盤が地下水で飽和し、地震時の液状化やタンクサイトの地すべりが発生する可能性も危惧される。

ALPSが稼働するまでは放流できず、汚染水は溜まりつづけるため、相当の期間安全に汚染水を保管しなければならない。そのため大型の溶接型円筒縦型タン クを地盤を安定化した場所に建設する必要があるだろう。場所としては将来の建設用地を使えば可能である。

2013/8/31、東電は漏れ速度5ton/6hから漏れたタンクの隙間は一日5トンとすれば長さ2.5cm、幅1mmと、漏れた期間は1月間と発表。

2013/9/5、東電は300トンの汚染水がもれたフランジ型タンク近くのダイクの排水弁から1-2mの地点に深さ7mの観測井戸を掘り、サン プル水をとって分析した結果、ストロンチウムのβ線が650Bq/liter、トリチウムは130,000-170,000Bq/literと公表。

2013/9/17台風の雨がダイク内に溜まり、放射能は8-24Bq/literのため1,100ton周辺の地面に放流。漏れたタンクのあるダイクの 雨水はストロンチウムが170,000Bq/literのため別のタンクに移すという。

2013/10/2、5基パイプで連結したフランジ型タンクから58万Bq/literのストロンチウムを含む汚染水が溢れ4.3トン海に流れた と発表。堤内にのこっていた汚染水は20万Bq/literであった。タンクの地盤は傾いており、水位計が一番高いタンクに設置されていたため、低いタン クが満水になっていることに気がつかなかったためという。

2013/10/18、折からの台風26号による豪雨後、2億Bq/literの汚染水が300トン漏れたタンク(海から700m)近くに掘った観測井戸の水からストロンチウム等ベータ線をだす放射性物質が400,000Bq/liter検出された。

プールからの燃料棒引き抜き

2012/7/18-19、未使用の燃料棒1本も試験的に引き抜き、損傷がないことを確認した。

 2012 年8月10日、4号機オペレーティングフロア上部にある原子炉格納容器上蓋(直径約9m、重量約52トン)をクレーンにて吊り下ろす作業を実施した。 オペレーティングフロア上部にある原子炉格納容器上蓋(直径約9m、重量約52トン)をクレーンにて吊り下ろす作業を実施した。

2012年9月13日、4号機オペレーティングフロア上にある原子炉圧力容器上蓋(直径約6.2m、重量約65トン)をクレーンにて吊り下ろす作業 を実施した。

2012年9月22日、3号機のガレキ撤去中遠隔操作クレーンで不安定な鉄骨をつかもうとしたら、プール内に落下。幸い燃料棒にダメージはなかっ た。

4号炉のプールには1,300本、400トン燃料棒が蓄えられている。これを3年間プールに保管すれば使用済み燃料の崩壊熱はべき分布で減少する。 少なくとも2014年まで3年間プール水を維持できればあとは空冷でなんとかジルコニウム被覆は維持できるので東京壊滅ということになならない。というこ とはまだ危険ということ。それまで4号機のプールの底が抜けないことを祈るばかり。それ以降なら空冷効果が確保できればジルコニウム被覆が酸化して燃えて しまうことはないだろう。

といわけで東電はプールからは3年以内に、原子炉からは10年後をメドに燃料搬出に着手する方針 だ。

2013年1月8日より着手していた4号機燃料取り出し用カバーの鉄骨建方が、5月29日に終了した。併行して、設置可能な東西および南面の外壁パ ネルの設置も行っている。今後、燃料取り出しへ向けた天井クレーン上架作業を開始する予定。2013/11取り出し開始。

1-3号炉にもそれぞれ数百トンの燃料棒が残っている。それもこのプールからの取り出しまではなんとか行くだろう。


じゃじゃ漏れの格納容器から熔融燃料の取り出し

1-3号炉は格納容器にはそれぞれメルトダウンして固まった100トンの燃料棒の塊が残っている。これを取り出すにはま格納容器を水で満たす必要が ある。しかし格納容器下部に漏れがあり、水で満たすことができない。計画では遠隔操作ロボットを使い、まず格納容器の水漏れ部分を探して修理する。溶け落 ちた燃料の場所や状態を把握し、水中で切断して取り出すという手順になっているが。遠隔操作ロボットが故障したら人が回収に行くしかない。

炉心冷却用に注入している真水は格納容器のドライウェルとトーラスを連結するベント管のベローズの破裂個所から注入しただけ流れでてくると考えられ る。この漏れを止めないと格納容器には水は張れない。漏れを止め る方法として

@ロボットを使うことを東電が検討しているが相当な困難が予想される

A原子力建屋の地下に(グラウト)防水セメントスラリーを高圧泥水ポンプで流し込しこんでベロー管を包んでしまう方法もありうる。その時溢れてくる 水は 配管・ケーブル・トレンチから回収しつつセメントを注入することになる。この手法はブローアウトした油田を止める一般的な方法である。米国に優れた技術が ある。それまでトレンチは溢れて流出は継続するのでこれを回収しなければならない。

Bプラント周辺に凍結壁を設けて地下水の流入をとめるついでにトーラス室に冷却管を投入し、内部の汚染水をすべて凍結させることができれば格納容器 に水張りができ るかも。



空冷方式

メルトダウンから3年も経過すれば発熱も減るわけで空冷は理論的には可能となる。問題は高放射線環境下で空冷化工事が可能か、ということと燃料取り出しをどうするかである。

冷却ガスは空気がいいのでは?

原子炉建屋内では放射線が強く、工事とメンテナンスは無理であろうから4つある主蒸気隔離弁の一つが遠隔で開けることができると仮定して、タービン 建屋内で主蒸気ラインにホットタッピウング方式でターボブロワ―を切り込み、加熱したガスを吸引し、空冷の熱交換器で冷却して格納容器ベント弁とベントス タック間のダクトに吹きこむなどが考えられる。

全体の圧は微負圧で運転すれば漏れにより内部圧力があがるから、余剰空気はフィルターで除染して大気に放出する。

燃料の格納容器からの取り出しのために格納容器と圧力容器の蓋を外すことはできない。したがって空冷が不要となるまでこの空冷を維持する。地下水を 止めることができれば格納容器内の水は抜き出せる。そうして格納容器の漏れを止めてから再度水をはって格納容器と圧力容器の蓋を外すことができるので。そ の後はスリーマイル方式で燃料を取り出す。

もし地盤凍結などで地下水を止めることができず、格納容器の水を抜き出せなければ、,燃料を圧力容器内に残したままグラウトで閉じ込めて石棺にするという ことになる。そのためには福島の住民の合意が必用になるだろう。空冷→グラウト埋葬が、格納容器の漏れ止めなどで無駄な投資をせず安上がりだとおもう。


超硬度の物質

メルトダウンした塊ウランはとジルコニウムの酸化物の層とホウ素とステンレスなどの金属層に分かれている。炭化ホウ素やホウ化鉄のような超硬度の物質を破砕する工具を開発しなければならない。

廃炉

下記3つのオプションがあるが、先行き不明なるも大差ない。もっとも大切なことは汚染排水の環境への漏出を完全に封じ込めなければならない。

@即時解体:建屋や原子炉を全て撤去し更地に戻す

Aサバンナリバー方式:燃料と原子炉を撤去し、その他の機器はかいたいして原子力建屋の地下に詰め込みグラウトで密閉し、数千年そのまま保管。

B安全貯蔵方式:約70年間密閉し放射性物質の減少と技術開発の進展を待ってから解体する

C石棺方式:原子炉などを完全にコンクリートで密閉することで完了する。チェルノブイリで採用された


乾式キャスクで長期間保管

プールで一定期間冷却した使用済み燃料を空冷式の乾式キャスクに収納したうえで、同設備で保管する。さらに熱や放射線を遮蔽するために、「コンクリートモ ジュール」を覆いかぶせる。本来の送り先である青森県六カ所村への搬出が困難であることから、福島第一原発の敷地内に保管され続けるだろう。


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核種変換

核変換で放射性廃棄物を無害化できるというが、リ ニアコライダーで重力の秘密が解明されるという程度のおとぎ話で、コスト度外視で経済的には成立するものでもない。

プルトニウムや超ウラン生成物が少ないと期待されるトリウム炉はなんであれ、トリウムを一旦ウラン233に変換して核分裂する。結果として軽水炉と同量の 核分裂生成物を生じるため、軽水炉より すぐれたものではない。プルトニウムや超ウラン生成物が少ないといっても核分裂生成物が生じる以上、無意味である。また羊頭をかかげて狗肉を売るの類だ。

September 5, 2013

Rev. August 24, 2016


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