ノースウエスト・アース・フォーラム

川上書簡

8. さいごに一言

インドに旅行しようという人のための書籍は沢山ある。その中で、小生の独断と偏見、思いつきで、今手元にある、人があまり紹介しないであろう次の何冊かを紹介しておきたい。

「ロンリープラネットの自由旅行ガイド インド」

オーストラリアに本社のある会社の出版。むろん英語版も入手可能だが、これは日本語版。大きな書店にある。インド編だけで1000ページを超えて分厚い本格的な旅行ガイド本。
インド編は税別で3200円。2004年初版。「地球の歩き方」では物足りない人向き

「ウズペック・クロアチア・ケララ紀行」

岩波新書、加藤周一著。1950年代にインドのアラビア海に面した州ケララに成立した共産党政権の話。インドの多様性の一面を物語る。著者加藤は、昨年亡くなった、現代日本最高の知性、「評論などというものは神か加藤周一しかやってはいけない」とまでいわれたひと。著者の若書き。インド紹介というよりは、欧米的な、芸術についての教養が目立ったこの人の幅を示す。 ここでは不適切かもしないし、加藤の膨大な著作の中では芥子粒のようなものだが、小生が長年私淑した憧れの人なので、ここにこの本を紹介しておきたい。

「インド・パキスタン現代史」

岩波新書, 蝋山芳郎著。著者は戦前の同盟通信社ボンベイ特派員。現代史といっても、初版は1967年。それ以後のことは、沢山あるほかの本に譲る。

「インドで暮らす」

岩波新書、石田保昭著。エッセイ。著者はインド史専攻の学者。

「深い河」

講談社、1993年。遠藤周作。戦後、第三の新人といわれた著者の晩年の書き下ろし小説。出版社の宣伝文句に「神の愛と人生の神秘を問う」作品とあるが、真摯なカトリック教徒で知られた遠藤がこの作品の舞台をインドに選んだのは興味深い。

(後記 グリーンウッド氏から、仲間の中にインド旅行の提案があると聞いて、短い手紙のつもりで書き始めたら、彼の巧みな誘導もあって、つい長くなりました。最後まで読んでくださった方がおられましたら、感謝申し上げます。パソコン直打ち、殴り書きに等しく、失礼しました。たった10日間滞在しただけのインドの話を書くとは、われながら図図しい。仕事がらみの話はなるべく避けたつもりです。)

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March 10, 2010


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