ノースウエスト・アース・フォーラム

川上私記

回想のアフガニスタンを読んで

私記 回想のアフガニスタンの連載ありがとうございました。国際関係を長い時間軸から俯瞰した観察を興味深く読ませていただきました。

こう見ますと米国はソ連をユーラシア内陸部に閉じ込めようと画策し、それなりに成功してソ連邦を崩壊させました。しかし中間地帯にあるアフガン、イラクなどの回教諸国に戦火をもたらし、イランとは絶交状態で、米国への憎しみを引き起こし ただけという結果になりました。双方の一神教のファンダメンタリストを刺激し、無用な宗教紛争のようになってしまいました。それは今後、米国をじわじわと真綿のように苦しめ、無駄な戦費に苦しみ、米国を疲弊させるでしょう。いかに米国のリーダーが愚かであったかの証 と読みました。

最終章のアフガンと日本の関係に「日本外務省の吉川元偉アフガン・パキスタン支援担当大使は「(支援は)1930年代からの長いつながりから出てきたものだ。息長くアフガンと理解してつきあっていくのが日本の外交だ」と語っている」とリポートされています。ジャーナリストらしく、事実を伝えただけで川上さんのコメントは伏せられています。

川上さんはこの言葉でなにを伝えたかったのかは文面からは分かりません。私が勝手に深読みしたものは「長年の外務省や財務省のウソを見てきているからか吉川元偉大使の言葉は額面通りには素直に受けとめにくい」ということではないでしょうか?外務省はアフガンのことを思っているのではなく、どうやって米国の庇護の下にいて自分達の存在意義をみとめてもらえるかという伝統的な思考形態に陥っている。都合のよいことに外務省の役人にとってはこう国民を脅してアフガン支援を利権化をしておけばどっちにころんでも自分には損はない。すなわち土建王国がしたことと同じことを期待しているように思えてならないのですが、間違っていますでしょうか?

明日は財政破綻してハイパーインフレーションになるのではないかと国民が恐れおののいている時にこの外務省高官の発言は余りに能天気な話だと思うのです。行政機関には当面静かにしてもらって当面はスティングリッツ教授が指摘するように日銀や財務当局 が早急に為替に介入し、円安に誘導してほしいと思います。さもないと産業がつぶれ、失業者が巷にあふれ、税収は激減ということになるのではないでしょうか。放っておいて既存産業を完全に荒廃させ、新しい芽がでるのを待つという方向に進んでいるように見えます。それは大変なことですよね。現状では歳出が歳入を上回り、いずれハイパーインフレーションがやってくるかもしれないというのに、日本国家はばらばらで利益団体(外務省含む)が我田引水しているばかりのように私には見えてしまうのです。

おかげさまでいろいろと考えさせられる連載でした。

ありがとうございます。

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March 20, 2010


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