ノースウエスト・アース・フォーラム

川上私記 回想のアフガニスタン

ベトナムの二の舞

    タリバン政権は2001年12月に崩壊した。04年に米国の肝いりで占選挙によりカルザイ政権が成立した。だが、もともと部族単位に細分化されていて、民主主義とか中央政府の統治とかに不慣れなこの国の、にわか政権に治安維持など期待しても無理だ。タリバンの残存勢力の抵抗は根強く、米軍は文字通り手を焼いている。自爆テロやゲリラ戦で依然として米軍をはじめとする国際支援部隊には戦死者が増え続けている。米軍の近代兵器はベトナムで、湿潤な熱帯ジャングルとベトナムのしたたかな民族主義に敗れた。アフガニスタンでは、国土の4分の3を占める乾燥性山岳地帯とイスラム教を絶対と考える原理主義者に手を焼いている。米同時多発テロもそうだったが、キリスト教の国、米国と戦って死ぬことは、アッラーの神への殉教なのである。


    米軍侵攻の当初の大義名分だったビンラディンの行方は杳として知れないし、生死さえ定かでない。米軍は9年近くにわたって、国中くまなく探しているが、もし生きているとすれば、恐らくアフガン・パキスタン国境の山岳地帯に潜んでいるのだろう。この一帯は高山ではないが険しい岩山である。そして、後述するようにパキスタン政府の統治も十分には及んでいない。
 

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March 12, 2010


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