うなぎ釣り

腰越の郵便局に出かけたとき、神戸川(ごうどがわ)の河口の河床にへそまであるゴム製のつなぎを着用して腹まで水に浸かり、片手にポリバケツ、片手に1m位の長さの細い釣り竿を持った老人がいる。なにごとかと神戸橋の上から目をこらして見ていると、その釣り竿の先には短い糸があって釣り針にはゴカイとおぼしき虫がついている。この釣り竿 の先端を河床のコンクリートブロックの下の隙間一つずつに順次ソーッと突っ込んで探りをいれている。なにを釣っているのかと暫くみていると当たりがあって、ぐっと引っ張る。すると長さ1m、太さ4cm位のまるまると太ったウナギがでてきた。腹は黄金色に輝いてうまそうであった。

察するところ、くだんの老人は地元のプロの漁師とみた。

これは天然ウナギとして珍重されているらしいが、うな丼の元祖「うなよし」(Restaurant Serial No.239)などが加盟する静岡県三島市のかば焼き店は天然ウナギを仕入れしないことに申し合わせたという。天然ウナギこそシラスウナギの元になる卵を太平洋のマリアナ海域で産卵してくれる貴重な生き物なのだ。河川がコンクリート化されて天然うなぎの住処がなくなってしまい。シラスも激減しているという。幸い神戸川(ごうどがわ)の河口の河床のコンクリートは痛んで隙間だらけになっているために天然ウナギの貴重な住処になっているのだ。これを捕まえることは数年先のウナギの価格高騰に寄与する行為なのだろう。老い先短い老漁師にとってはそれでいいが、次世代は困ることになる。

July 10, 2008

Rev. July 12, 2008


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