東北地方太平洋地震

 

2011年3月11日、午後3:46分、マグニチュード9という世界の歴史の4つに入るという東北 地方太平洋地震が発生したとき、平塚駅前のマクドナルド店に居た。「英国王のスピーチ」という映画を見に出かけて平塚に着いた直後であった。

ただならぬ気配に慌てて外に飛び出し、駅舎からガラスなど落ちない場所に立ったが、ふらふらしてうまく立っておれないくらいの揺れである。いままで経験したことのないただならぬものを感じた。

アンドロイドで朝日新聞をチェックすると東北で地震とでている。朝日も早くなったと思う。これで合点がいった。縦揺れなしのゆっくりした横揺れであったからだ。これなら高層ビルは大きく揺れるだろうが木造家屋は倒壊はしないだろう。ゆっくりしてはいるが 、幅の大きな揺れだったのでパソコンのディスプレイなどが机から落ちたのではないかと、自宅設置のカメラで撮影した映像をチェックした。30分毎に自動更新している七里ヶ浜の映像 である。驚くことに地震数分前の42分ままフリーズしていた。これを見てパソコンが落ちて壊れたものと覚悟した。映画を見る気力も失せて帰ることにした。

東海道線は止まっている。やむを得ずタクシーを拾ったのだが海岸に沿った国道134号線を走るので津波が怖くて生きた気持ちもなかった。 予想通り倒壊している家は一軒もない。海岸にはパトカーがでてサーファーを呼び戻している。鎌倉に入ってから運転手にたのんで海岸を離れたのだが、今度は渋滞で動かない。そこでタクシーを大船に行きたい老夫婦に譲って、歩いて帰った。

家の中は本棚は固定してあるので、倒れたものはなく、パソコンも落ちてはいなかった。ただボーズの小型スピーカーが棚から落ちて、下にあるライブ・カメラ専用ノートパソコンの直近に落ち、も少しでパソコンを壊すところであった。七里ヶ浜の映像がフリーズしたのはしかし、停電でADSLモデムが停止したため、映像が送れなかったためと判明した。

16:30頃、目を相模湾に転ずると見たこともないほど潮が引き、海底の岩が露出していてビックリ。そのうちに浜が半分くらい狭くなった。明らかに津波である。高低差は1mくらい。

まず潮が引く

そしてヒタヒタと潮が満ちてくる

夜になっても停電したままのため、ソーラーセルで充電したバッテリーを電源としてLEDライトを使っていつものと同じ明るい夕食をとることができた。 北ラス会で披露して以来、私は持論の巨大発電所依存の集中配電型電力網の脆弱性解決法として分散オフ・グリッド・スマートハウスを推奨してきた。この機会に自らそれを実践するという貴重な体験を持つことができた。停電は9時頃に終わったが、福島原発がメルトダウン寸前になりそうという報道に接し、かねがね、気候変動対応において風力とソーラーセルの将来性に背を向け、原子力に一途に入れ込んだ国と電力業界の態度を批判してきた者として、大いなる興味を持ってウォッチした。その成果は東北太平洋地震と福島原発メルトダウンに別途記した。

そもそも原発は多量の海水を必要とし、丘の上に建設するとすれば仮に動力回収タービンをつけたところで、海水ポンプ動力増加は原発の発電コストを上昇させる。冷水塔方式にすれば高台にも建設できるが、高台は住宅地として優先的に使われるので立地はむずかしい。国を10mの土手で囲っても、津波はますます増幅して高くなるし、川からも津波は俎上するわけだからそのようなことはできない。だから海岸から丘の上に移住するしか手はない。水没しても使える大型モーターはいまのところ存在しないが、作れば作れるだろう。ただその他の、電気系統を津波から守る設計とすることはとても金がかかるし、今回もここら辺がブラックボックス化している。国の原発開発は破綻したと言える。

コスモ石油、東北石油の火災も専門家として多いに興味あった。停止した石油精製工場は

JX日鉱日石仙台:14.4万バーレル
鹿島石油鹿島:25.2
東燃ゼネラル川崎:33.5
コスモ石油千葉:22
極東石油:JX日鉱日石根岸:27

である。JX日鉱日石仙台とコスモ石油千葉は火災でかなりのダメージをこうむった。その他は軽微な故障だから早期復帰はかのうだろう。いずれにせよ石油は燃えるだけ燃えるに任せれば灰しか残らないが、原発はその後の後始末が大問題だろう。自民党政府は無鉄砲に原発に突き進んだものだとその判断能力を疑う。目前の利益に目がくらみ、物事の重大事の判断能力に欠けるところがあるのではないだろうか?当事者の猛省を期待する。大きな犠牲を伴って突出した原発という一種だけの電源に依存すること、そして集中発電して末端に配電するというシステム依存は危ういと考えて「グローバル・ヒーティングの黙示録 ー政策研究所・マスコミの一歩先を行く予測」 で警告してきたが、この不幸でようやく民に浸透したのではないか。マー天罰が下ったとも言えよう。信頼性を数学的に計算すればすぐ分かることを国民が理解するにはこれほどの犠牲が必要なのかと力が抜ける。

メルトダウンを万一制御できないと、最悪1週間は家を出れなくなる恐れありと判断し、翌日の12日には1週間分の食料品を買出しにでかけた。汚染前の食料品を備蓄するためだ。皆、同じ思いなのか店は空っぽであったのには非常に驚く。これから1週間は雨の時は仕事があろうが 外に出てはいけないということが分かっているとは思えない。地震の心理的影響だろう。政府は原子炉周辺の住民をまとめて管理するために法律をふりかざして住民を強引に自宅から引き出そうとするが、理性的に考えれば情報を隠さず住民に与え、自己責任で自宅に残るか、汚染覚悟で従うか判断させれば、放射能が充満するなか外に出て移動するより自宅にこもった方が安全だという結論になるはずだ。法律がおかしいと思う。放射線計を事前に町内会にあずけて自己責任で計測させれば、役に立たない役人に給料を支払うより安くつく。

停電に備えて昔購入しておいた中国製のエンジン発電機を動かそうとしたのだが、保管管理をまったくしなかったため、残念ながら電気系がだめになってしまった。スパークが全く飛ばない。福島原発と同じ事態になった。毎日使うソーラーセルとバッテリーの組み合わせがいかに優れているかわかる。

さて政府承認下ではじめた東電の地域別輪番停電は首都の交通機関をマヒさせ、経済活動の息の根を止める恐れがある。ライフラインには停電をせず、不急の消費をカットさせるという方策をとらないと日本の自滅である。横須賀火力を再稼動すれば高価な石油を使うといっても短期的に利用できるだろうと調べてみると目下解体中という。この判断はただしかったのだろうか?

17日は乱れてしまったJRに対応するために新幹線の切符を買い換えに大船にでた。江ノ電は止まっているので歩いて江ノ島にゆき、そこからモノレールを使った。ついでに当座の現金を登山保険の振込みを行った。小さな郵便局は停電で閉鎖、本局まで歩いたが非常用発電機が動くまでATMがうごかず、待たされた。三菱銀行はさすがに停電といえどもATMは動いていた。ガソリンエンジン発電機を屋外で動かして電力ケーブルを室内に引き込んでいる学校があった。でも大部分の店は閉店。ここの魚屋が売ったふぐが毒だったかもしれないので回収するとの緊急放送があった。

夜は防犯灯に使っている自家発電のバッテリーからコードを部屋に引き込みLEDランプで夕食をとり、ラジオでニュースを聞く。

LEDランプ

そのうちに復興税という増税があるかもしれない。

March 14, 2011

Rev. April 11, 2011


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