武蔵野の今と昔

地図から見た所沢ー立川周辺にかけて

法政大学 元日本地理学会会長 清水靖尾夫氏

2006年12月13日

武蔵野台地は日本最大級の洪積台地の一つ。 水の少ないところでだいたい標高50m当たりで伏流水が泉となって地表にでて川を作る。泥炭層の上にある粘土層が地下水を通さず伏流水を維持している。江戸時代にこの台地の尾根筋に玉川上水がひかれて沃野となった。それ以前は仙川などの谷筋に水田があるだけだった。

上のようなことが昔陸軍測量部、現国土地理院作成の地図から読み取れる。また昭和12年の軍事機密法の成立により立川とか所沢の軍施設が改描されて隠された。しかし地図作成者のひそやかな抵抗により完全に消し去られたわけでもなかった。

軍事機密法はもう無いが、最近国土地理院が都市圏活断層図を市販しようとしたら、自民党国会議員がこれを差し止めようとした。すったもんだしたあげくようやく一部日本地図センターで入手できるようになった。

今市販されている活断層図リストにはなぜか原発立地は含まれていない。いわば一般市民には公表されていないというわけである。日本政府による隠蔽工作なのだろうか?

最近は地図も電子化され、時代とともに移り変わる様が紙に印刷されないまま電子的に変更されてしまうので古地図との対比による研究などが今後困難になるのではないかと危惧している。

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December 14, 2006


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