風力・太陽電池ハイブリッド発電

詳細試運転報告

風力・太陽電池ハイブリッド発電組み立てセット入荷5日後に最後の結線も終わり、ソーラーセル、ウィンドタービンとも問題なく稼動することを確認。設置場所が良かったのか風車は風を受けてよく回る。当面最高速度を1,500rpmに設定してあるが、最高速度では独特の鳥の囀るようなヒュルヒュルという音を発する。風が無くとも毎分6秒間だけ、バッテリー電源で強制的にタービンを回す。無風状態が継続し、10分以上発電モードに入らないと節電モードに入る。発電モードに入ると発電機下部に付いているLEDが毎分数秒点灯するが、タービンは回転しない。こうなると強い風が吹き発電モードに入るか強制手動停止を行なわない限り節電モードは解除されないとマニュアルにある。

バッテリーが満タンのため13.1ボルトでパワーコントローラーのカットオフリレーが働く。マニュアルでは30度で13.8ボルトのはずなのだが、バッテリーの温度を計測して温度補正した電圧をハイブリッドパワーコントローラーに送るバッテリーセンサーにすこし誤差があるようだ。

次にインバーターを作動させようとしたところ、インバーターのスイッチを入れても作動しない。パワーコントローラーの低電圧保護回路は作動していないのでハイブリッドパワーコントローラーとかバッテリーセンサーが誤作動しているのではなさそう。インバーターも12V用が装着されている。ハイブリッドパワーコントローラー(CP-7/7L Inv. Cont)とインバーター(HS Inv.)を結ぶ灰色の専用ケーブルのタグが正しいとすれば接続方向が逆になっていることを発見、直ちにはずす。この専用ケーブルはCP-7/7L Inv. Cont側は6局のコネクターに3芯のケーブルがピン側から見て青、空、空、黒、空、白と結線され、HS Inv.側は6局のコネクターに3芯のケーブルが空、青、空、白、黒、空と結線されている特別のものだ。導通テストもしてこのピンとの接続は確認した。ケーブルをタグ通りに挿入しても事態は変わらない。インバータースイッチを入れること可というニセ信号を出す信号線ショートプラグは梱包されていないのでケーブルが悪いのか機器が悪いのか試験しようがない。この情報を全てメーカー担当者に伝えたところHS Inv.側の結線が黒と白が逆になっているので正しいケーブルを送るという。また間違ったケーブルを送られても時間の無駄とショートプラグも送ってもらう。青と黒をショートさせているプラグを挿入するとインバーターは作動した。専用ケーブルも正しく作動した。これで、発電電力を利用できるようになった。

自家発電で発電した電力は屋外の13W x 2個の防犯灯に使う。現在使用中の光センサでスイッチを入れ、タイマーで所定時間点灯後スイッチを切る方式は擬似サインウエーブではモーター式タイマーが正常に作動しないという。クオーツ式タイマーを探したが入手できないので光センサー機能だけの中国製のセンサーをガレージの天窓の下に設置した。センサーの待機電力もバカにならなく、センサーに触ると熱を感じる。数ワットであろう。このセンサーは擬似サインウェーブで作動することを確認。

ようやくインバーターは作動した。風車も風が強いのでリモートコントローラーで強制的に停止しておいた風車(3日間よくまわった)を復帰したが、タービンコントローラーの停止ランプは常時点灯したままである。無論風車は回らない。マニュアルによれば故障とある。タービン・コントローラーをリセットしても復帰しない。

インバーターまたは光センサースイッチの干渉でタービン・コントローラーが誤作動するのではないかと考え、まず光センサーをはずしてリセットしてみてもタービンコントローラーの停止LEDが点灯する。つぎにインバータースイッチを切ってからリセットすると正常にもどり、風車はまわりだした。インバーターが原因かと思ったが、インバーターから買電との切替スイッチへ交流を送るコンセントを抜くとインバーターの電源を入れておいても風車は正常である。ケーブル類が雑音を拾うのではと制御盤内のケーブル位置を変えても変化なし。切替スイッチからユーザーに交流を送るケーブルが15メートル位商用入力と並行して設置してあるのでここで高調波がリサイクルしている可能性ありと商用入力を抜いてもランプ負荷をかければ停止LEDが点灯する。

万策尽き、仔細をメーカーに伝えるとメーカーの技術部長が来て見てくれた。診断の結果、リモートコントローラーからタービン手動停止信号を送る信号線からタービンコントローラーに雑音が入ってくることが判明。雑音の原因は擬似サインウェーブの交流電線と信号線が並行している4メートルではないかと配線替えしたが直らず。サインウェーブに変換できる高級なインバーターにする手もあるが、この雑音をカットするために信号線にターミネーター(信号線末端に抵抗器をつけて雑音を熱に変換するしかけ)を付けた新しい信号線をテストしてみることになった。

この複雑な制御系はゼファー社のオリジナルである。風車メーカー、サウスウェスト社製のウインドタービンは世界中に普及しているが、複雑な制御系を持っているゼファー社以外のタービンは殆ど故障してしまうそうである。この制御機器の設計製作は新光電機に委託したとのこと。

夜間ソーラー電池も風車からの充電もなく、バッテリーは夕刻の7:00から太陽が上がるまで電気を供給しつづけ、電圧は12.8Vから12.5Vに下がっただけであった。これでバッテリー容量は充分との確証を得た。しかし、無風日が3日も継続すると、発電量が不足し、バッテリー電圧は徐々に低下し、12Vにまで低下する。負荷を1灯火として対処することにした。

インバーターと風車を停止させて旅に出て帰宅するとリモートコントローラーの表示がおかしくなるという新たな症状が出た。夜間、ソーラーパネルが発電していないのに、ボルトの変動が11-13Vまではげしく変動する現象が見られたが、ついにリモートコントローラーのボルト表示が崩れて正常表示の時間が極端に短くなる。メクラ運転になるため、負荷を1灯火にして安全運転を2週間継続した。

メーカーはリモートコントローラーが前にも同じ症状を呈したことがあるのでと交換用のリモートコントローラーを端末処理したケーブルと一緒に送って来た。早速、両者を交換したところ、電圧表示のばらつきはプラスマイナス0.01ボルトに納まり、画面が消えるなどの異常もなくなった。タービン手動強制停止も解除もリモートで行なえるようになった。パワーセーブモードは風が強くなれば解除されるのは確認済みだが、タービン手動強制停止操作でもパワーセーブモードが解除されることも確認できた。

ハイブリッドコントローラーとリモートコントローラーのLED点灯は同期しているが、風車の回転が上がってタービンコントローラー発電表示LEDが点灯してもハイブリッドコントローラーの風車発電表示LEDが必ずしも点灯しない。タービンコントローラーにある微風発電(チャージポンプといい、発電機出力電圧を上げて充電する機能)作動時はハイブリッドコントローラーが充電電圧に達していないと判断して点灯しないためとも考えられる。しかし微風発電作動LED表示はないため分からない。メーカー確認中。

これで試運転はほぼ完了したことになる。試運転の結果、逆接続した信号ケーブルのとりはずし、誤製作した信号ケーブルの交換、信号ケーブルに端末処理の追加、初期故障したリモートコントローラーの交換を要したことになる。グリーンウッド氏が長年担当した大型プロジェクトでもよく発生した人間的なミスと少量生産に必然的に伴う設計上の微調整である。プロジェクトでは多量生産品のような製品の検査体制も作れず、また設計も充分枯れていないためである。メーカー公表の設置事例182件(風車自体は数千台)中、個人向けキットを購入した個人は船舶をいれてもまだ17件(本件と堀江謙一氏のモルツ・マーメイドIIも含む)と少ないことからもわかる。

2001/12/23

Rev. August 27, 2003


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