日本の下水道の問題点

近年建設されている下水道は雨水と家庭排出汚水は別系統となっている。ここ鎌倉でも10年前に別系統となった。しかし東京オリンピックに間に合わせようと工事を急いだため、東京の下水道の84%は雨水と汚水は同じ下水管に流れ込むようになってしまった。東京に限らず下水道が早期に完成した都市ほどこの古いシステムの比率が高い。

下水処理場は雨水で薄まった汚水を処理しなければならないことになる。普段は問題ないのだが、大量の雨が降ると下水処理場の処理能力を越えてしまう。このときは汚水の一部は今でも海へと直接放流されるわけである。

グリーンウッド氏は七里ガ浜に住んで20数余年、毎日相模湾の色を見ているが、6月ころから海の透明さと青色が消えて褐色になることを知っている。海水温が上昇するためにプランクトンが増えるためである。ひどいときには赤潮が発生する。赤潮は海岸にそって帯状に広がる。夜になると夜光虫と呼ばれ、幻想的で美しい蛍光を発する。しかし昼は醜い赤さび色である。

2001年4月からは毎週ボートから八景島沖の海を観察してきたが、東京湾では6月に発生した赤潮は7−8月となると海面を埋め尽くすほどになる。エンジンの取水口が詰まるのではないかと恐怖感を覚えるほどである。相模湾より赤潮が激しい理由は東京都の下水システムの欠陥に起因するものと推察している。

日本中にコスト高でだれも使わない高速道路を造った土建国家との悪評はあるのに、なぜかこの下水道に手をつけていない。政治家の不勉強もさることながら、市民の意識も低いためではないかとおもう。

米国ではディスポーザーを使って野菜屑など下水に流せるのに日本では禁止されている。この本当の理由は下水管が1本しかないことにあると思う。下水処理も活性汚泥を使う嫌気性発酵であるため、有機物をムダに燃焼させて炭酸ガスにしているだけである。メタン発酵を使って資源の回収など思いも及ばない。

2001/12/29


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