一歩前の会

東京農工大を見学

「一歩前の会」を中心とするリサイクル勉強会は鈴木先生のご紹介で世田谷の東京農工大の総合研究所、リサイクル研究センターを見学した。後藤逸男教授を中心として生ゴミを有機質肥料として再資源化するシステムの研究、鈴木昌治教授を中心とするメタン発酵装置の研究施設などを見学した。

後藤教授によると生ゴミのリサイクルは乾燥法が最もすぐれている。一方、従来法のコンポスト化はカビによる生分解のため、いくつかのの問題がある。

などである。しかし、乾燥法にも欠点がある。

すぐ肥料の効果がでない問題対策としては尿素を2-3%混合して肥料としての即効性を与えればよいことがわかた。またペレット化すれば商品価値もでる。

よく乾燥生ゴミを再度コンポスト化する必要があるのではと批判されるが、とんでもない。乾燥生ゴミのまま使うほうが土壌改良剤として効果的である。塩分は入っているが量を多く使わなければ塩害が出るほどではない。通常塩害は硝酸カリによるものだ。乾燥生ゴミに食料油が入っていてもかまわない。

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大規模乾燥式生ゴミリサイクルプラント

農工大では百貨店など大規模事業所対象の毎時80kg処理能力のプラントとスーパー、レストラン向け100kg/dの小規模装置を開発した。家庭用にはすでにナショナルからMS-N46という生ゴミ乾燥機が発売されていると紹介があった。他の家電メーカーもほぼ同じ原理のゴミ乾燥機を販売している。撹拌機のついた容器に毎日生ゴミを投入し、熱風で乾燥・減容し一週間たまったところで容器から取り出す。臭気はプラチナ触媒で酸化脱臭するので台所に設置できる。

鎌倉市でも家庭用には4万円を限度に購入価格75%の補助金を出して奨励している。自家用の肥料にもできるし、減量化できるので保管しておいて生ゴミとして市に引き取ってもらうこともできる。グリーンウッド家では生ゴミをコンポスト化してきたが、この乾燥機を購入することにした。自家用風車発電機も庭の斜面に設置してエコ・ライフを充実させよう。

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家庭用生ゴミ乾燥機

直感で野菜くずの乾燥・発酵・コンポスト化工場に投資し、長年運転してきた友人、西沢君の構想は正しかったわけである。発酵・コンポスト化を意図したものだが、乾燥が急にすすむので実質的には乾燥操作中心と理解できる。

次に鈴木教授のメタン発酵装置を見学した。処理量は15kg/dである。メタン発酵にExpanded Granular Sludge Bedが使えるのは酸発酵を前段でおこなうため、Bedが汚れないためである。今のところ世界最高水準のメタン発酵技術といえる。メタン発酵槽の中和に苛性ソーダを使うとナトリウムによる塩害がでるので水酸化カリで中和することにしたとのこと。

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酸発酵槽について説明する鈴木教授

鈴木教授は食料油のサイクルとしては脂肪酸は石鹸製造に使い、グリセリンはアルコール発酵原料とする構想を語った。

この他、木材チップの繊維を機械的にほぐしてウレタンで固めてマットにして生分解性の遊歩道の路床として使いリサイクルする方法が実験されていた。

研究所長との懇談会でグリーンウッド氏は氏の持論である構想、すなわち「既に産業として死んだも同然の日本の林業建て直しの方策として、山の急斜面を自走し、木材を全てインシチュでチップ化する機械を開発し、チップ燃料チェーンを構築する」を農大が実現する気はないか質問した。この構想のポイントは残材だけではなく、全てチップ化すること。森林のインシチュ・チップ化自走機械の開発により、伐採と山からの木材搬出の人件費を削減してコストを抑え、既存化石燃料に対抗できる価格を維持し、もって地球温暖化に資するところにある。問題は日本にこのような産業が存在しないところにあり、大学などの啓蒙が必要とグリーンウッド氏は考えている。

2002/4/19


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