フィールズ氏との往復書簡

日米海軍比較と瀬島龍三について


グリーンウッドさん、

肋骨損傷お見舞い申し上げます。平衡感覚の衰え・骨の脆化 いずれも老化の典型的な症状。進行を何とかして遅らすべく努めるしか方法がないようですね。

10月12日(金)帰国し、早速翌日 ”ダス島へのセンチメンタル・ジャーニ” をメールしたが届いていないようですね。別途、再送します。

第二次大戦での日本の敗戦に関する本をかなり読み込んだようですね。最近、「文芸春秋」11月号記事: (1)「帝国海軍 vs 米国海軍」及び (2) 「瀬島龍三 昭和の参謀ついに死す」に目を通しました。

(1) は、「失敗の本質」の続編ともいえる内容で、組織・人・技術夫々に分けて日米比較している。対談メンバーは「失敗の本質」の執筆者 +半藤一利 +江畑謙介。日本のリーダーの弱さとして、コミュニケーション不足・全体俯瞰に立脚した戦略立案能力の欠如・リーダーシップ能力の無さ・失敗しても責任を取らない、取らせない無責任体質等々挙げている。いずれも今日見られることで、日本人が本来持っている体質なんですかね。

(2)は、保阪正康が書いているが、瀬島龍三の言動に対してかなり辛辣なコメントをしている。瀬島龍三は状況を素早く認識し、その時点でその組織内のためにどうしたらいいかの判断が早い。惜しむらくは、その組織内での秀才に止まっていて視点が低いこと。

芸術の秋、体調良くなりましたらまた上野に行きましょう。

フィールズ

 

 

フィールズさん、

「文芸春秋」 11月号記事: (1) 「帝国海軍 vs 米国海軍」及び (2)「瀬島龍三 昭和の参謀ついに死す」に目を通しましたか。実は私も読みました。その他の 中西輝政の記事も読んで段々ストレスがたまって川柳を沢山作ってしまいました。

無誤謬は 統帥権の 残渣とは   座一

などは失敗しても責任を取らない、取らせない無責任体質のよってきたるところに思い至って詠んだものです。

ムラ社会 次官のクビも 切れず降り   座一

も無能で邪悪な役人が首相まで切り捨てて跋扈することを歌ったものです。

中西輝政がここに昭和20年以降、各省の官房長には「白い手帳」と「黒い手帳」が代々受け継がれているという。秘話を暴露していますが、「黒い手帳」に関しては

公務員 敵に回して スキャンダル   座一

「白い手帳」に関しては;

令嬢は 白い手帳で 玉の輿   座一

と詠みました。

無責任体質になるのは、徳川時代からの悪しき伝統で、共同体の中で波風を立てないために何をどうすべきかということすら話し会わず、また話し合っても話がつかないときは一旦権力を特定の個人にあずけて自由にやらせ、失敗すればクビをいただくということをせず、なあなあで始末してきた伝統のためでしょう。

ところが最近、新潟県で村八分を指導した有力者が訴訟にまけて裁判費用と賠償金を負けた側の折半だと言い出した。

村八分 賠償金は 折半で    座一

有力者の言いなりになってきた村民はビックリ。そんな金ないよ。でもこの構図、どこかの国の縮図とおもいません?

「瀬島龍三は状況を素早く認識し、その時点でその組織内のためにどうしたらいいかの判断が早い。惜しむらくは、その組織内での秀才に止まっていて視点が低いこと」との観かたは卓見でまさにそのような人だったのでしょう。

中曽根元首相は瀬島が第二臨調、裏臨調、行革審の委員となった時の手腕を高く買っていましたし、私は今亜細亜大学に出入りしていますが、私より若手の教授連は瀬島に反発していましたが、名誉教授は瀬島龍三理事長を畏敬の念でみておりました。イナーサークルからみれば瀬島はすばらしい人だが、外からみればどうしようもないエゴイストということでしょう。

日本の文化は秘密や恥は墓場まで持ってゆきますが、欧米はキリスト教の影響の影響か、どうせ神にはお見通しなので、生きているうちに懺悔しておこうという気になるのかマクナマラにしろチャーチルにしろ回顧録などで全てバラシテしまいますね。

社会としては失敗の原因情報を共有できるので、そのような社会の方が集団智が向上して競争力が増しますね。日本はそういう意味で負けるべくできているという感じがします。日本が鎖国しているならそれでよいでしょうけれど。グローバル化時代には心もとない伝統ですね。安倍などまさに井の中の蛙で外にでた途端、神経衰弱でダウンしてしまいました。

肋骨は確実に直りつつありますが運動不足で腰痛がでてきて困っています。今日は運動不足解消に「按針塚」周辺を歩きました。

「按針塚」に立ってはじめて家康がアダムスに与えた250石の逸見村というのは横須賀軍港そのものということにいまさらなが気がつきました。「按針塚」から横須賀軍港を見下ろせるのです。さすが航海者の目は違うと感心しました。英国人のアダムスが見つけ出し、米国がアジア制覇のために使っているのだという構図が見えてきました。

グリーンウッド

October 23, 2007


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