フィールズ氏との往復書簡

田中知事不信任に関して

かねてよりグリーンウッド氏は長野県の田中知事の脱ダム宣言を支持したが、最近の長野県議会による田中知事不信任案可決に関し、友人のフィールズ氏よりメールをいただきました。同氏の許可を得てここに往復したメールを公開します。

 

グリーンウッドさん、

話題の多い田中知事に対する不信任案が県議会で可決されました。 田中知事のやり方が拙劣で議会軽視と見られても仕方無い面もあったでしょうが、圧倒的な県民の支持を獲得して当選した知事を辞任に追い込むとは議会も思い切ったことをするものです 。 ”いかにも長野県民らしい”、という人がいます。 長野県民性についての知識が乏しく、どういう点が長野県民らしいのか判りません。 が、こう云った知事-議会の対決は必ずしも悪いことではなく、馴れ合いよりも格段に良い。 それにしても、不信な任案に賛成した議員の多さ(49人中44人)には驚きました。 これだけ数がまとまると、ダム工事中止による利権絡みだけではなさそうだ、と思いたくなります。 元県民としてはどういう風に観ていますか?

フィールズ

 

フィールズさん、

長野県人の典型は私です。

ちょっと斜めにかまえて、少し変人で、理屈ばかりはいてます。

田中知事を担ぎだしたのは長野県一の地方銀行の八十二銀行の頭取です。茅野の出身とか。八十二銀行員と商工会議所のメンバーはみな支持してます。田中知事は松本深志出身ですが、化学の恩師は同じ人で、今でも毎年会って田中知事の裏話をうかがってます。 田中知事は長野県人としては特に変わり者で東京にでてからはエッチな本を書いてほとんど都市人です。まあ本質的に作家でしょう。議員は少し時代に遅れていてウマが合わないようです。 私にすればかわいそうな議員達でして、田中知事が切れないで議会解散して県民の意思を確認したらよいと思ってます。

グリーンウッド

 

グリーンウッドさん、

長野県人についての解説ありがとうございます。 中央における小泉旋風が衰える昨今、地方における変革の芽が唯一の希望だと思っていましたが、これもまた潰されそうになっている。 日本における保守派未だ衰えず、というところですか。 県政リーダーとしての田中知事の能力はあまり高いとは思いませんが、彼の県政変革への意欲、特に県庁職員の意識改革への取り組みは評価されてしかるべき、と思います。 自分の地位が脅かされることへの恐れが変革への反対となったのでしょうが、県民の良識に期待しましょう。それにしても、この変革の遅さが日本の最大の弱点です。 政界だけでなく、かつての体協や低迷している業界・個々の企業にも共通して見られます。

三井物産がつい最近まで政治家に頼って ODA にしがみついていたとは驚きです。 しかも、そのような旧態依然としたやり方をしていた連中が社長賞をもらっていたとは。

日韓両国ともに同じようにバブル破裂後の不況に見舞われたが、韓国経済の方が打撃が大きかった分復活も早く且つ変革の度合いも深いようですね。 経済規模・金融システム・技術開発力、いずれをとっても日本の方が数段上だと思いますが、経済の活力・世界情勢変化への対応の早さにおいては韓国の方が優れている。 半導体業界における日本企業のシェアは落ちる一方ですが、これは半導体製造分野だけの現象に止まらず、日本の半導体製造装置メーカーのシェアも米メーカーに抜かれてしまったそうですね。 インテル・モトローラ・サムスン等の米・韓半導体メーカーが、日本の装置メーカー(キャノン・ニコン等)が最新の半導体製造装置を売ってくれない、と90年代初めにこぼしていたのを思い出します。 チップ上のプロセス設計開発とチップ製造のための機械技術開発とは車の両輪だから、当然起こるべくして起こった現象でしょうが。 ”抜きつ抜かれつ”であることを祈るばかりです。

フィールズ

 

フィールズさん、

昨日のテレ朝のサンデープロジェクトに田中康夫と浜康幸?とかいう反対派議員代表が出てそれぞれの立場の説明をしたが、田中康夫の完勝という感じ。田中康夫のスマートさに切れたほうが議員という感じであった。議会も解散して県民に判断してもらったほうがいいと思いました。

米国では大雨のため、ダム決壊の危険が生じて下流の住民の避難さわぎになってるとFENラジオで聞きました。田中康夫のダムをやめて河川改修を地元業者にさせるというほうが賢明でしょう。困るのは大手土建業者と献金を受けている議員だけです。

組織の三菱、個人技の三井物産といわれたが、個人技となれば、裏技も使う人がでてきておかしくない。必然の結果ということでしょう。

韓国ではサッカー応援に興奮しすぎた一般市民が燃え尽き症候群に陥り、とある自動車会社の生産高が半分におちてしまったとか。韓国の人も普通の人であったかと安心しました。

グリーンウッド

 

グリーンウッドさん、

昨日のサンデープロジェクトは見ませんでした。多くの長野県民が見てて欲しいですね。古くは長良川河口堰問題、最近の例では長崎県諫早河口堰の問題。 土建政治家・役人・ゼネコンが結託して政治資金捻出の為の不要ダム・高速道路プロジェクトの例はたくさんある。 政治銘柄プロジェクトは受注し易く且つ儲けも大きい。一旦この味を憶えたらはまってしまう。 競争に勝つべく地道に実力を養う努力をするのが馬鹿らしくなり、この熱で会社の脳(経営者)がいかれてしまい正気を失ってしまう。 日本のゼネコンの大半の現状がそのなれの果て。日本が早晩土建国家から脱却し、公共工事予算が減額されていくのは80年代初めから明白だった。 公共工事予算減らすべし、という声が大きくなった80年代半ば過ぎ頃、彼らの仲間入りをしようとしたアホな某社土木屋。これに踊らされて後押しした経営トップ。 僅か4〜5年先すら見えなかった。

フィールズ

 

フィールズ氏との往復書簡を読んだまえじまてつお氏から下記メールいただきました。

グリーンウッドさん、

主題の件についてお尋ねしようと思っていましたが、フィ−ルズ氏との往復書簡を読み、やっぱりそうですよね〜、と思いました。

実は本日、理科大教員室で政治学(?)を教えている先生(70才位、多分新聞記者出身)がおっしゃっておりました。

「僕も長野県民なんだけど、本当に恥ずかしい。土建屋がらみの県議が、自分と下請け、孫請けの利害でさ、ダム反対とかさ、いやだね〜。大体ね、田中って言うのは八十二銀行の頭取を筆頭に、土建屋以外の財界が押しているんだよね。ジャ-ナリズムでも、信毎(信濃毎日新聞)は当然、田中派だしね。解散しても対立候補の成り手が居ないと思うよ。」

全国レベルでは、ちと知的レベルの下がる国政で小泉さんが「改革」を半ばGive-Up気味ですが、全国一の教育県〜知的レベルの高い長野県では田中知事の勝ち、のような気がします。

(個人的なWishも入っていますが・・・・)

クリスタル田中ガンバレ!!

July 8, 2002

Rev. July 10, 2002


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