グローバル・ヒーティングの黙示録

用語集

 

用語集

気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change, IPCC):マーガレット・サッチャーがサミットで二酸化炭素に起因する温暖化を調査する国際機関がほしいと提案しました。国連の世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)がこれを受けて 1988年に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)を編成したものです。サッチャーはハドリー気候予測研究センターも設立し、それは1999年時点では気象変動の原因を探るIPCCの第一ワーキンググループとして機能していました。

IPCCスキャンダル:COP15の直前に勃発したヒマラヤの氷河が完全に消える時期を故意に間違えて記載した「グレーシャーゲート事件」でIPCCの権威が傷ついたのに続き、IPCCの中心的機関であった英国のイーストアングリア大学気象研究ユニット(Climate Research Unit CRU)のジョーンズ所長が悪名高い「ホーケスティック曲線」作成の中心的役割を担っていたため「クライメイト・ゲート事件」の責任を取り辞任しました。これら事件が連続したことから「気候変動報告書」自体が捏造されたのではないかとの疑惑が持たれるようになりました。パチャウリIPCC議長は、企業献金を受けての利益誘導疑惑が浮上し、議長辞任の批判の渦中にあります。そして今アル・ゴアはピエロになりました。英国では国民の半分はもうIPCCのいうことを信じてはいないとされています。

COP:気候変動枠組条約の締約国会議(Conference of Parties)の略。気候変動枠組条約は1994年3月に発効し、1年後の1995年3月にドイツのベルリンで第1回締約国会議(COP1)が開催されました。

京都プロトコル:1997年のCOP3は京都で開催され、京都プロトコル(議定書)が締結されました。先進国は異なる1990年基準の二酸化炭素削減率を義務化されました。その重要メカニズムとしてCDMが導入されました。

CDM:クリーン開発メカニズム(Clean Development Mechanism)

炭化水素燃料:生物起源説によれば石油、天然ガス、石炭などは数億年前に、当時の植物が光合成で固定した太陽エネルギーが化石となって地中に埋もれたものとされますので化石燃料ともよばれます。無機成因説によれば上部マントルの主要構成岩であるカンラン岩が蛇紋岩化する過程で発生する水素が二酸化炭素と反応して生成したとされますのでここでは炭化水素燃料としました。いずれにせよ貯留岩にトラップされたものを使い尽くすと生産量はロジスティック曲線にしたがってピークアウトします。主として炭素と水素からなる化合物で空気中の酸素と反応させる(燃焼)と熱を出し、二酸化炭素と水蒸気になります。これによれば火力発電所はこの燃焼熱で水蒸気を発生し、タービンを回して発電するわけです。内燃機関の燃料ともなります。国産は微々たるもので殆どが輸入です。

ジェヴォンズ・パラドックス:省エネルギー技術とエネルギー消費量の間の逆説的な関係

ピークアウト:既生産量と可採埋蔵量の和は究極可採埋蔵量です。究極可採埋蔵量が半分になる時期をピークアウトと呼びます。この時点からどんなに追加投資しても生産量はロジスティック曲線(ハバート曲線とも呼ばれる)に従い減少に転じます。これは米油田、北海油田で証明済みです。ピークアウトすれば価格は高騰します。炭化水素燃料、ウラニウム資源、文明の栄枯盛衰にもこの原理が作用しております。

メタンハイドレード:大陸棚にメタンが水和物を作って氷のように堆積したもの。薄く広く分布しておりますが上手い回収法がありません。

原子力発電:ウラニウム238の原子核は92個の陽子と146個の中性子から構成されていて時々アルファー線を出して崩壊します。2回アルファ崩壊するとラジウムになります。電子を1個放出するベータ崩壊では中性子1個が陽子にかわり、最終的に鉛になります。この崩壊はたまにしか起こらず、かなり安定した金属です。しかし中性子の数が3個少ない同位元素(アイソトープ)は中性子の照射を浴びるとクリプトンとバリウムに核分裂して中性子を放出します。ウラニウムの核の中の中性子は陽子のほぼ1.5倍ですが、核分裂生成物の核の中の中性子は陽子のほぼ1.2-1.3倍ですから中性子が余ってしまします、この余剰中性子が次ぎの核分裂を連鎖的に継続する臨界状態となり、原子番号の小さな雑多な放射性廃棄物に変わります。軽水炉の場合はウラニウム235を数%まで濃縮していますので軽水で減速された中性子はよくウラニウム235に吸収されるのです。核分裂の発生熱で水を気化し、水蒸気でタービンを回して発電するわけです。通常の水を減速材兼冷却材につかいますので軽水炉といいます。同時にウラン238は中性子を照射されるとプルトニウムに変わります。ウラニウム235は天然ウラン中に0.72%しか含まれていないため、遠心分離で3%程度まで濃縮したウラン燃料をつかいます。ウラニウム235の濃縮度が70%以上ないと核爆発はしません。100%のウラニウム235で臨界量は22kgとされています。広島に使われた原爆は不純物がおおかったため、この3倍は必要でした。原子力発電は核爆発はしないものの暴走反応、冷却水損失で炉心のメルトダウン、圧力容器破損、格納容器破損による放射性廃棄物の大量放出というブラック・スワンの可能性があります。世界は過去2回経験しました。メルトダウンしても核爆発はしません。日本は3%濃縮ウランを米国とフランスから輸入しております。天然ウランはカナダから輸入して六ヶ所村で遠心分離装置で3%に濃縮しております。

放射性廃棄物:中性子線(ベータ線を放射して陽子になる)や電離性を有する強いエネルギーをもった粒子線(宇宙線、陽子線、アルファ線)、電子線(ベータ線)や電磁波(ガンマ線、X線)を放射線といいます。核分裂廃棄物はアンダーラインした放射線を放出します。ガイガー・ミューラー計数管は不活性ガスの電離放電により通過した放射線の数を計測します。

高速増殖炉:中性子を減速する水を冷却材に使わず、ナトリウムを冷却材にすると発電しながら使用しながら不活性なウラニウム238を1.2倍程度のプルトニウム239に転換するように設計された炉です。水で減速しない高速の中性子をつかうので高速という前置詞がつきます。この転換プルトニウムは同位元素239の純度が高く、兵器級プルトニウムと呼ばれます。純粋のプルトニウム239の臨界量は2-5kgとウラニウム235に比べてかなり少量です。核拡散防止の目的で再処理してプルトニウムを回収するときにはウラニウム238を混合して核兵器を製造できないようにすることになっています。

トリウム炉:トリウム資源はウランの4倍大きいのですが、トリウム自身は核分裂しません。トリウム232は90個の陽子を持っています。中性子を当てるとトリウム233となり、これがベータ崩壊して、プロトアクチニウム233となり、更にベータ崩壊して、ウラニウム233となります。こうして生成したウラニウム233をトリウムと混合して燃料とする核分裂炉です。燃料再処理が必要となります。

核融合炉:核融合は中性子1個と陽子1個からなる重陽子(Deuterium)と中性子2個と陽子1個からなる三重水素(トリチウムTritium)を融合し、中性子2個と陽子2個からなるヘリウム4(Helium-4)と中性子(Neutron)を生成させる反応です。原料は重水素はカナダなど水力発電単価の安いところで電解プラントで副生する重水から製造します。半減期12.3年のトリチウムは資源としては存在しないので融合炉のブランケット内でリチウムと中性子の反応で生成させます。発電の原理は超伝導コイルで2億度のプラズマを磁気的に閉じ込めた空間にエネルギーを継続的に投入して温度を維持しつつ(ローソン条件)発生する中性子をブランケットで熱にし、この熱でスチームタービン発電機を回すというものです。日本とフランスが1兆円の巨費を投じて共同研究しております。

ブラック・スワン:まれに生ずる電力会社を破産させるような大規模汚染のことをブラック・スワンといいます。電力会社はこの負担に耐えられませんから、補償上限を設け、残りは税金で負担することになっています。ブラック・スワンは正規分布ではなく「べき乗則」に従う長い尾を持っています。

べき乗則:地震のマグニチュードとその起きる頻度の関係、河川の氾濫、生命の絶滅の規模と頻度、進化、雪崩の規模と頻度の関係、相転移、破壊現象における破片の重さと破片の数の関係、石油の埋蔵量、インターネット上の次数分布、高額所得者の収入の金額とそれを得る人数の関係を示す「パレートの法則」、食物連鎖、エイズの伝染などがこれに従います。

グリッド・パリティー:発電単価が市販電力価格を下回ること

放射:物質が温まるとその温度に応じた電磁波(常温では遠赤外線が多い)を放射して冷える。昔は輻射といった。

対流:物質は温まると膨張して体積が増える。すると比重が軽くなって流体の場合、温まった部分に浮力が生じ上昇気流が生じる。鍋の中の煮えたぎる湯、入道雲はこれの典型的なものです。

伝導:分子同士が直接衝突して運動エネルギー(熱)を伝え合うはたらきです

再生可能エネルギー:水力、風力、波力、潮位、潮流、海洋温度差、地熱(高温岩体)、太陽エネルギー、バイオマスなどの総称

太陽エネルギー:太陽から地球にとどく紫外線、可視光、赤外線からなる電磁波の総称です。遠紫外線より波長の短い電磁波を電離放射線といいX線やガンマ線も含まれます。地表に届くと地表をあたため、温まった地表は赤外線を放射して地球の温度を定常に保っております。

バイオマス:狭義には砂糖キビやトウモロコシなど農産物から発酵でエタノール燃料を製造することをいいますが、広義には薪、木炭、広葉樹を燃料とする発電など植物の光合成作用を利用する間接的な太陽エネルギー変換燃料です。

ソーラーセル:(photovoltaic cell, PV)ソーラーセルはpn接合半導体の光起電力効果(内部光電効果)を原理とするもので可視光を直接電子の流れに変換できます。曇りの日でも少ないながら全空の光を電力に変換できます。

集光型太陽熱発電:(Concentrating Solar Power, CSP)太陽光を鏡で集熱管に集め、その熱で蒸気サイクルをまわして発電する。CSPは集光型のため太陽の像が集熱管の表面に結ばないと熱が発生しません。晴天の多いサンベルト地帯で威力を発揮します。

一次エネルギー:炭化水素燃料、ウラン燃料、太陽エネルギーなど資源から直接製造できるエネルギー

二次エネルギー:電力、都市ガス、合成燃料など一次エネルギーを別のエネルギー形態に変換して利便性を向上させたエネルギー

エネルギー収支比(EPR Energy Payback Ratio):特定のエネルギー設備で生産(もしくは節約)できるエネルギーと、その設備に対して直接あるいは間接的に投入したエネルギーの比。たとえばメタンハイドレートからのガス回収、とうもろこしバイオエタノール製造はEPRが低い。

合成燃料:石炭や天然ガスを一旦一酸化炭素と水素にして、触媒を使い高温・高圧下で液体燃料に再合成するもので、フィッシャートロピッシュ合成油、メタノール、これを脱水したジ・メチル・エーテルそしてアンモニアがあります。太陽エネルギー発電の電力で水電解し、生成する水素と炭素源からフィッシャートロピッシュ合成油、メタノール、これを脱水したジ・メチル・エーテルが合成できます。また空気中の窒素と水素からアンモニアが合成できます。

アンモニア燃料:アンモニアは水素と窒素の化合物で窒素肥料として利用されますが、合成燃料としても使えます。原料として炭素が不要ですからどこでも製造できます。水電解槽に窒素ガスを供給してアンモニアを直接電解合成する研究が進行中です。究極的には光触媒を使った人工光合成により水と窒素から直接アンモニアが合成できることも確認されています。

スマートハウス:スマートハウスとは完全断熱、密閉型のアクティブソーラーハウスと分散発電、蓄電、蓄熱を組み合わせたものです。オフグリッド運用が可能となります。

スマートシティー:スマートシティーは集合住宅のコンパクトシティーです。昼は巨大日傘を広げて日射を避け、夜は閉じて地表の放射冷却を促進するパッシブ制御をする都市空間を持ちます。

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December 10, 2010

Rev. January 30, 2011


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