保津峡(ほずきょう)

1999年12月、風力発電機の立地調査で京都の西の園部町という町に出かけた。高校の修学旅行で嵐山という所に行った思い出がある。嵐山の奥から流れ出る桂川は水量も多く、どこから来るのか謎として残ったままであったが、 仕事で訪れた園部町への旅で解けた。

京都駅を出た山陰本線は嵐山を過ぎるとトンネルに入る。一分毎にトンネルが4回程途切れる時に車窓から美しい渓谷が垣間見れる。これが保津峡という景勝の地で、谷を穿って蛇行して流れる川がかの桂川ということを知った。

渓谷に沿って嵯峨野観光鉄道がトロッコ列車を走らせている。嵯峨野観光鉄道はJR山陰本線の電化・複線化に伴い廃線になった路線をりようした観光用に1991年開業した会社で創業時の社長以下9名が頑張って保守し、植樹などして成功したものだという。

またこの渓谷は渓流下りでも人気ナンバーワンである。丹波の国、亀岡から京都・嵐山の渡月橋まで16キロを船首に立つ棹差しと船尾の櫂引きだけで1時間40分かけて下る。

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保津峡

保津峡を出れば平坦な盆地に出る。冬の朝は深い霧に沈んでいる。ここに亀岡市がある。丹波の国分寺跡があるのもこの平野である。園部町はその先にある。三重大学の某教授が町に深山山頂に風力発電機を設置したらどうかと提案されたそうで、町に調査を依頼されてでかけたわけである。 園部町は自民党のキングメーカーだった野中広務代議士の出身地である。代議士の実弟という町長にもお会いした。この方の美学なのか町の市民向け施設はピカピカしているのに庁舎が古いバラック造りのままであった。

園部町から左に入ってしばらく行くと瑠璃渓に入る。瑠璃渓近くの萱葺きの民家の屋根は子供の頃読んだ「猿カニ合戦」の絵本に出てくる狭く急傾斜の杵形であった。挿絵画家が参考にしたのだろう。瑠璃ゴルフ場の裏山は笹に覆われた、標高791メートルの深山である。この山に徒歩で登った。山頂には神社があった。

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深山山頂

深山はたった791メートルであるが、北にも南にもここより高い山はない。従って舞鶴湾と大阪湾両方が見渡せる。東方はるか遠く、標高774メートルの半国山が見えるが 、西の方は霞んでここより高い山は見えない。教授の指摘通り、風も通り抜けるわけで風車の設置場所としては最適である。

この地の利を生かして山頂近くに建設省の深山レーダー雨量観測所がある。このデータは淀川ダム統合管理事所に送られて防災に使われると説明板にある。桂川も淀川の支流である。 残念ながら、建設省が「レーダーに支障が出て洪水予報に支障が出る」と反対しこの計画は頓挫した。

1999年12月28日

Rev. April 22, 2008


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