マンハッタンビーチ

仕事でロスアンゼルスに出張した。空き時間を見つけてマンハッタンビーチに住んでいる友人ロンの家に立ち寄った。彼は、20年以上も昔、イラン向けのカリンガスLNGプロジェクトで一緒に仕事をした人である。昨年現役を引退してマンハッタンビーチで奥様と優雅に暮らしている。

クリスマスカードを毎年交換していたのだが、グリーンウッド氏の本ウエブサイトが契機となって、週一回の電子メールの交換がはじまり、チャンスがあったらオフで合おうということになったわけである。

マンハッタンビーチはロスアンゼルス空港の南にあって、セプルヴェーダ・ブルバードをタクシーで南下すれば10分である。初めて訪問したわけだが、セプルヴェーダ・ブルバードがメイン・ブルバードを越えたら何ブロック、セプルヴェーダ・ブルバードの東何ブロックと運転手に告げれば、該当のブロックにつく。あとは各家の壁に大書してある4桁の家屋番号を見つけるだけなので、迷うことはない。各家のスタッコの壁に家屋番号の文字を取りつける慣習は良いと思う。

現在は米国の景気が良く、不動産投資意欲が高まって古い家の建て替えが盛んになっているという。海岸に近い所では5億円にもなるという。

ロンがガレージに大切に保管しているビンテージのオープンカー(フェアレディーZ)に乗って海岸に繰り出した。

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ロンとニッサンフェアレディーZ

丘の上の見晴らしの良いとことからは、東北方向にロスアンジェルス・ダウンタウンのスカイスクレーパーが見える。真南には緩やかに曲線を描く砂浜がパロスベルデスの丘に達するまで見晴らせる。こういう場所に超豪華邸が建っている。建物の様式はコロニアル、ビクトリアン、アールデコ、クラシックチューダー、アメリカントラディション、フランス風、スペイン風など様々である。真北にはシェブロンのエルセグンドリファイナリーがあり、景観は阻害されている。家もそれに対応したものになる。

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コロニアル風の豪邸

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スペイン風の邸宅

海岸に並行しているセプルヴェーダ・ブルバードに交差しているマンハッタンブルバードが海岸で終わるところに海に突き出した桟橋がある。ここがマンハッタンビーチの中心である。桟橋脇の駐車場に駐車し、オープンカーなのでハンドルを鍵で固定し、駐車券を自動販売機で買う。駐車券を誰かが見るわけでもない。自己申告制である。ロスの地下鉄の切符も同じで乗車券を自動販売機で買えば、あと自動検札機すらない。車掌も来ない。ここが日本とあべこべで面白い。

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桟橋 (ロン撮影)

海岸は七里ケ浜の数倍はあろうか。七里ケ浜のように道路のためにコンクリート壁を造らず、自然の土手が残されている。砂浜が高まって約20メートル幅の自然の植生が土手を覆っている。この植生の真ん中に遊歩道がある。

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植生の中の遊歩道 (ロン撮影)

土手の上にもう一つ遊歩道があり、この遊歩道にそって第一列の家並みが連なる。1940年代に建てられた家は殆ど第二世代の家に立て替えられている。家の様式は各家の経済状況、時間的余裕、などにより様々であるが一般的にかなり力が入っている。

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土手上の遊歩道と第一列の家並み

第一列の家並みの山側には車道があり、各家のガレージだけが一列にならんでいる。このユーティリティー道路を鏡対象にした形で第2列の家波が並んでいる。この第二列の家並みの正面は海を背にしているので、観光地特有のレストラン街、商店街となっている。マンハッタン銀座(ダウンタウン)というわけである。

マンハッタン銀座がくし刺しになる形で、直交するように第一列と第二列をブロックに区切る道路が自動車の入れるユティリティー道路と遊歩道が交互になるように配置されているため、遊歩道を美しく飾ることができる。各家が趣向を凝らして素晴らしい環境が自然にできるように仕組まれていることには感心させられる。町造りの知恵が素晴らしい。ベバリーヒルも同じ構造であったことを思い出した。

マンハッタン銀座より少し陸側に海岸に平行して電車が走っていたそうであるが、いまでは廃線となり、レールがあった所はグリーンベルトになっている。

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海岸に直交する遊歩道

砂浜は褐色でビーチバレーのコートが延々と続いている。概して風は穏やかで、荒れても桟橋が波で洗われることはないそうである。気温も零下になることはないので植生もサボテンが多い。

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強風下の桟橋 (ロン撮影)

セブンマイルビーチとマンハッタンビーチを姉妹都市にするプロモーターになろうとロンより提案があった。

世界一発達した高速道路網も限界に達し、二階建て道路も検討されるなか、ロスアンゼルスのダウンタウンでは地下鉄がタテ、ヨコに開通し、地下鉄のターミナルからはディーゼル機関車に牽引された二階建てのステンレス ・スティール製通勤列車(軽量列車という)が15分間隔で運転されている。アムトラックも乗り入れ、鉄道が見直されはじめている。

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マンハッタンビーチのシギ

1999年6月1日

Rev. October 28, 2002


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