言語録

シリアル番号 日付

423

2001/1/19


名言 若いころ、わたしはダルマツィアの
岸辺をわたりあるいた。餌をねらう鳥が
たまさか止まるだけの岩礁は、ぬめる
海草におおわれ、波間に見えかくれ、
太陽にかがやいた。エメラルドのように
うつくしく。潮が満ち、夜が岩を隠すと、
風下の帆船たちは、沖あいに出た。夜の
仕掛けた罠にかからぬように。今日、
わたしの王国はあのノー・マンズ・ランド。
港はだれか他人のために灯りをともし、
わたしはひとり沖に出る。まだ逸る精神と、
人生へのいたましい愛に、ながされ。

・・・須賀敦子(あつこ)訳
言った人、出典 イタリアのトリエステの詩人ウンベルト・サバが1946年に上梓した詩集「地中海」のなかのユリシーズ
引用した人、他 須賀敦子著「ミラノ 霧の風景


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