メモ

シリアル番号 表題 日付

681

米国の有人宇宙飛行船コロンビア号の事故原因

2003/07/09

●1967、アポロ1号、3名:発射台上で船内火災発生。船室の壁厚を減らすために窒素のない減圧純粋酸素雰囲気にしていたため、端子に接続を忘れた電線のショートで火災が発生。人間のミスはゼロに出来ないので設計思想に問題があった。

●1970、アポロ13号:月に向かう途中、機械船の酸素タンクが爆発。酸素消費を減らすために帰還中の燃料電池の電力使用を切り詰めて無事3名全員生還

●1986、シャトル・チャレンジャー、7名:固体補助ロケットの継ぎ目に使われたゴム製のOリングが寒さで硬化し、燃焼ガスリークにより燃料タンクが爆発したもの。メーカーの技術者がその危険を3年間指摘し続け、事故の前夜もメーカーの技術者は外気温が低いので打ち上げ延期を主張していたが、NASAの肥大化した組織のトップには都合の悪い情報は現場からは上がらなかった。「最大の敵は組織の制度疲労と人間の心」だとファインマン博士も参加した事故原因報告書は結論した。またNASAの仕事は「一種のロシアンルーレット」であったと批判した。

●2003、シャトル・コロンビア、7名:大気再突入時、カルフォルニア上空でなにか機体からはずれて飛んだことが目撃され、その残骸もアリゾナで発見されている。次いで左翼の油圧と着陸用タイヤの空気圧の信号が途絶え、幾つかの左翼の温度計が高温を示した数分後空中分解した。打ち上げ時、液体酸素などを入れた燃料タンクの保冷材が剥離して落下した記録があるし、今までもよく剥離落下している。NASAは過去の経験から一般耐熱タイルの損傷は重要視していなかった。そのため耐熱タイルの点検と修理を宇宙でする準備がしてなかった。フラップ制御の油圧装置が着陸タイヤ格納部付近にある。原因はまだ明確になっていない。NASAの仮説は:

打ち上げ時、液体酸素などを入れた燃料タンクの保冷材と氷が剥離して落下し、左翼の後輪収納部の扉の耐熱タイルと機体耐熱タイルとの隙間に設置した耐熱チューブに接触するタイルを損傷した。または軌道上で宇宙ゴミか隕石が衝突して翼に穴があいた。この部分から着陸タイヤ格納部内部に高温空気が入り、油圧装置を壊し、フラップ制御ができなくなった。機体には自己安定性能はなく、姿勢制御が必須である。制御に補助ロケットは使えず、フラップしか使えない設計になっていた。フラップが使えなくなれば不安定となり機体破壊に至った可能性がある。もしそうであれば、NASAの仕事はまたしても「一種のロシアンルーレット」であったことになる。2003/02/14

●2003/7NASA事故調査委員会は燃料タンクの保冷材を時速850kmで翼前端の耐熱タイルが損傷することを実証した。今後は補修用耐熱タイルを持参し、万一の時は宇宙で補修後帰還することをNASAに勧告した。248ページのコロンビア号事故調査委員会報告はpdfファイル(10Mb)はhttp://www.caib.us/news/report/default.htmlで入手可能。


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