読書録

シリアル番号 948

書名

グリーンスパンの正体

著者

ウィリアム・A・フレッケンシュタイン、フレデリック・シーハン

出版社

エクスナレジ

ジャンル

経済学

発行日

2008/3/28第1刷

購入日

2008/05/03

評価

原題:Greenspan's Bubbles The Age of Ignorance at the Federal Reserve by William A. Fleckenstein and Frederick Sheehan

友人T.H.と上野で会った時、彼は通勤電車の中でグリーンスパンの自叙伝を夢中で読んだという。私は「私もグリーンスパンのファンで日本にもし彼のよう な人間が日銀を預かってくれればバブルも生じなかったであろうし、その後の長期にわたるデフレもなかっただろうと思っていた。しかし最近のサブプライム問 題の発覚とともに彼もやはり住宅バブルを発生させて いたのだと思う」というと、彼は「兎に角グリーンスパンの自叙伝を読んでみろ、グリーンスパンの成功は財務長官のルービンと毎週会って、情報を共有してい たことにある 。それから彼は財政赤字はいけないが、貿易赤字は問題ではないと言っている」という。確かにクルーグマンも同じことを書いていたように記憶する。そこで二 人で上野駅構内にある書店に立ち寄って探したが、売り切れ、そのかわりこの本が目に入った。まだできたてのほやほやのようだ。「ほれ、俺と同じ意見の人が いる」といってこれを買った。

無論、帰りがけに藤沢の書店でグリーンスパンの自叙伝も買い求 める。

実体経済の4倍もあるだぶついた金がバブルを発生させる。FRBとしては景気は犠牲にしても金利を上げなければいけないのにグリーンスパンもバーナキンも 低金利政策を とったのでバブルが発生したいうことのようです。かっては住宅バブルであったが今は資源バブル。日銀も更に超低金利でそれを後押ししているというわけ。し かし景気刺激期待圧力が強いのでだれが中央銀行のトップになっても高金利政策はとりにくいようだ。

資源バブルで輸入穀物が上がって畜産農家が廃業せざるをえず国産バターやミルクがなくなるという皮肉が発生している。少し待てばバターやミルクの価格が上 昇するので長期的には大丈夫なのに、廃業する人間にとっては悲劇だ。こうして世の中がインフレになって少し遅れて中央銀行は金利上げに動かざるをえなくな るのだろう。

エンジニアリング会社も畜産農家に似ている。N社の会長が新聞でレーバーレートが上昇して困っているという、C社もM商事の増資資金をつかってレーバーコ ストの上昇分を支払わざるを得ないようだ。

2008/10の金融危機でウィリアム・A・フレッケンシュタイン、フレデリック・シーハン は正しかったことが証明されたわけだが、グリーンスパンの失敗は低金利を維持したことより、証券化手法を規制せず放任したことにあるという説が正しいよう だ。

蔵書は処分

Rev. January, 2016


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