読書録

シリアル番号 898

書名

未来いそっぷ

著者

星新一

出版社

新潮社

ジャンル

小説

発行日

1982/8/25発行
1984/4/15第8刷

購入日

2007/09/23

評価

新潮文庫

ミセス・グリーンウッド蔵書

15年くらい昔、競争企業のN社との親睦の会で背の高いスマートな紳士と合った。星新一の弟さんであると聞いた。お兄さんの星新一は 高名なSF作家とのこと。この兄弟の父星一は星製薬と星薬科大学の創業者である。星新一は「人民は弱し官吏は強し」という父・星一の、星製薬創業・発展期における苦闘を描いた作品を残している。

しかしその後も星新一のものは読んだことがなかった。 あと2冊で900冊の大台に乗るというので、この本を手にとった。

イソップ物語は紀元前6世紀に奴隷のアイソーポスが作った、とヘロドトスが「歴史」に書いているそうだ。アイソーポスが全てを創作したわけではなく、それ以前から伝えられていた寓話、後世に創作された寓話、アイソーポスの出身地(小アジアのどこかといわれる)の民話も多数含まれているという。ギリシア語の原典は失われており、現存するのは古代及び中世にまとめられたラテン語のものである。

星氏はイソップ物語を改変して「いそっぷ村の繁栄」というパロディーを書いた。1970-90年代の高度成長期の日本社会を風刺している。アリとキリギリスはその例だが、氏が予測したより早く日本 が高度成長期に蓄えた富は消え去った。

このほか「シンデレラ王妃の幸福な人生」、「無罪の薬」、「価値検査器」、「企業内の聖人」が面白かった。

Rev. October 7, 2007


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