読書録

シリアル番号 891

書名

戦艦大和と戦後 吉田満文集

著者

吉田満(みつる)

出版社

筑摩書房

ジャンル

戦記

発行日

2005/7/1第1刷
2005/11/25第2刷

購入日

2007/09/08

評価

ちくま学芸文庫

吉田満の「戦艦大和ノ最後」は戦記ものの古典とされているが、ながらく絶版となっていて現物を手にとったことはなかった。そのため原勝洋の「戦艦大和」を読んでまぎら わしていた。たまたま上野の書店で保坂正康氏の編で復刻版が文庫文庫本としてでていたのを発見し、衝動買いした。

氏が奇跡的に生還して終戦になった直後、ほぼ1日で書き上げたという「戦艦大和ノ最後」に加え、戦後日銀職員になった氏が、雑誌に書いたエッセイが多数掲載されている。一人の人間の心の軌跡がうかがえる。

氏が戦後ニューヨーク勤務時代にかっての敵であった米国従軍兵士とあった経験談は私がジョン・ホーンというアラスカLNGプラントの工場長から聞いた話と同じでアメリカ人の屈託のない戦争感を伝えている。

「戦艦大和ノ最後」を読んだ読者から、なぜ徴兵拒否をしなかったのかと批判されることは氏を苦しめたようだ。しかし、不通の人間なら氏と同じ行動をとるだろう。


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