読書録

シリアル番号 686

書名

沈黙

著者

遠藤周作

出版社

新潮社

ジャンル

小説

発行日

1981/10/15発行
1993/5/20第20刷

購入日

2005/2/19

評価

”神の沈黙”というキリスト信仰の根源的な問題に取り組んだ、遠藤のベストセラー小説。長崎・島原・天草の旅に先立ってひもとく。 ザヴィエル、ヴァリニャーノ、フロイスらが残した記録をベースにした小説。

主人公は実在のシシリア生まれのキャラをモデルにしたポルトガル生まれのセバスチャン・ロドリゴである。

主人公はポルトガルのイエズス会が日本に派遣したクリストヴァン・フェレイラ教父が長崎で「穴吊り」の拷問をうけ棄教したとの報を受けて日本に渡る。そして転んだフェレイラにあう。結局 、彼も苦しんだ末、棄教した。

そのとき、ロドリゴは「主よ。あなたがいつも沈黙していられるのを恨んでいました」とつぶやく「私は沈黙していたのではない。一緒に苦しんでいたのに」との声を聞く。


じつはこの本は長崎への旅の前に拾い読みしただけである。9年後の2014年になって友人のTから

遠藤周作『沈黙』のロドリゴにはモデルの実在宣教師がいます。あとがきで遠藤も触れて いますが、もう少し詳細が解っています。本名はジュゼッペ・キアラ(Giussepe Chiara)シチリア・パレルモの人、イエズス会バテレン、日本潜入後、捕縛され、長崎で取り調べ、そのまま江戸送り、伝馬町牢屋を経て、小日向にあっ た幕臣・井上政重の下屋敷に設けられた牢獄に収容された。井上に懐柔され、棄教。処刑された罪人の日本人妻を娶り、岡本三右衛門(岡田の 資料もある)と名乗り、十人扶持、見返りに欧州宗教情報、世界情報を提供、『契利斯督記』などの記録があるらしい。新井白石の『西洋紀 聞』のネタとなった。40年間の幽閉後、84歳で没、火葬(切支丹は土葬)、戒名・入専浄眞信士、小石川無量院に墓石、その後雑司ヶ谷霊 園に移籍、更にその後、遺族持ち去り、現在所在不明。キアラ後、この屋敷の下働き・八衛門少年(19歳)が切支丹信者と判明、試し斬りさ れた。夜泣き石、八衛門石ともよばれ、夜泣きする、と言う。遠藤は、この少年の他、数名の切支丹がこの屋敷から生まれている事に、転んでもなお布教を続け ていたロドリゴを想像したのかもしれない。

と教えてもらった。
Rev. November 7, 2014


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