シリアル番号 | 652 |
書名 |
三浦半島記 街道をゆく42 |
著者 |
司馬遼太郎 |
出版社 |
朝日新聞社 |
ジャンル |
紀行 |
発行日 |
1998/1/1第1刷 2001/11/30第10刷 |
購入日 |
2004/09/10 |
評価 |
優 |
多分、地元鎌倉の最良の案内書。
司馬遼太郎の手にかかると頼朝が中世の世を作りあげてゆく様がストンと腹におさまるように合点がゆく。
中国式律令制が崩壊したとき、中国が経験できず、日本だけがヨーロッパとおなじ封建制への移行できたわけは。頼朝をあずかった北条氏がいた伊豆半島、三浦一族のいた三浦半島、千葉一族がいた房総半島の連携にあったという視点が説得力をもってせまる。
三浦庄の和田氏のこと、秩父の畠山氏のこと、鎌倉の梶原氏のこと、青砥左衛門尉藤綱(あおとさえもんのじょう)の銭十文の逸話。蒙古来襲、後北条家、秀吉、家康、江戸末期の小栗上野介忠順(おぐりこうずけのすけただまさ)と横須賀造船所、日本海軍と三笠など歴史上の逸話と土地の関係がこれでもかとくるだされる。
彼の記述で唯一難をいえば源頼義が由比ガ浜に勧請した八幡宮が由比若宮と呼ばれる由縁を司馬氏は知らなかったらしいということだけである。