読書録

シリアル番号 633

書名

400万年人類の旅 石器からインターネットへ

著者

ジェームズ・バーグ、ロバート・オーンスタイン

出版社

三田出版会

ジャンル

歴史

発行日

-

購入日

2004/06/13

評価

原題:The AXEMAKER'S GIFT by James Burke annd Robert Orstein

鎌倉図書館蔵。半日で通読した。

石器時代から現代までに人間の知識の発展史。

専門家としてではなく、万能家としてその歴史の全体像を総なめにしている。

インド、中国、エジプト、メソポタミアで起こった河畔文化のうち、前3者の文明は裁定と罰則の責任は家父長から神官など支配層に移行した。しかし4,500年前のメソポタミアの都市国家では、共有財産から私有財産へ移行していた。そのころの粘土板に、個人の取引や契約が詳しく記されている。ウルで初めてつくられた成文法は個人の権利と所有者の義務という概念についてである。ハンムラビ法典はこの後制定される。西洋的思考の基礎となったものである。キリスト教もこの思想の流れにあり、私有財産制に立脚している。

ギリシアがフェニキア人よりアルファベットを受け取り採用したことが、論理構築に貢献したとの記述である。左から右へと書かれたものを読む時の脳の機能をみると、右方向へ動く目の動きは左脳がコントロールしている。したがって、左から右へと書かれた文字はそれぞれの目の右側の視界に映り、左脳で処理される。左脳は情報の塊を少しずつ順序たてて処理し、分析することを得意としている。

知識を獲得し、分析する新しい方法をギリシア人は「智を愛すること(フィロ=ソフィア)」すなわち哲学(フィロソフィー)と呼んだ。

インターネットに代表されるシステムは個人的・文化的多様性を育む可能性をもっている。違いを抑圧するのではなく、祝福することができるようになれば、打ち捨てられていた人間の才能という富を利用できるようになるかもしれない。


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