読書録

シリアル番号 619

書名

シスコの真実 シリコンバレー「超」優良企業の光と影

著者

ジェフリ・S・ヤング

出版社

日経BP社

ジャンル

社史

発行日

2001/7/23第1刷

購入日

2004/1/15

評価

鎌倉市図書館蔵

原題:CISCO Unauthorized by Jeffrey S. Young

AT&Tの異端の研究者、デイビッド・アイゼンバーグがパケットを使ったネットワーク通信を「バカなネットワーキング」と呼んで研究していたが、危険視され首になった。アメリカ国防総省高等研究計画局(DARPA)のコンピュータ部門IPO(情報処理技術局)がこのアイゼンバーグのアイディアを掘り起こして開発したのがインターネットだ。初期のころ使っていたブリッジではパケットのトラフィックをうまく裁けないのでスタンフォードの大学院生の夫婦レオナード・ボザックとその妻サンディー・ラーナーとエンジニアのビル・イェーガーがルーターを開発した。夫婦が1983年CISCOを創立。1987年、米政府がインターネットを一般開放。

IBMのノンテクの元セールスマンでワークステーションのメーカー、ワングコンピュータの副社長だったジョン・チェンバースがこの会社を育てる。そのビジネスモデルが技術開発は社内で行なわず、新技術を開発したスタートアップ会社を買収しその技術を自己の商品群に加えて行くという手法で、ルーターのマーケットで独占的地位を築き、高い収益をあげて買収資金を生み出すという方法であった。

CISCOの成功はルーセントとかノーテルが電話ネットワークのくびきにとらわれている間にIPプロトコルベースのルーターを供給したことにある。

CISCOのルーターはソフトウエアによって稼動するため、毎秒ギガビットの伝送能力を出せるだけだが、ジュニパーなどのスタートアップカンパニーが開発したハードウエアでIPスイッチングをするより高速のルーターの競走圧力にさらされている。

光ファイバーが幹線に使われるようになり、光スイッチングが技術的に可能になれば、ルーターの数は少なくてすむようになり、シスコの強みは失われるのではないかというのが筆者の危惧。


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