読書録

シリアル番号 571

書名

技術官僚 その権力と病理

著者

新藤宗幸

出版社

岩波書店

ジャンル

政治学・地政学・行政学

発行日

2002/3/20第1刷
2002/4/10第2刷

購入日

2003/05/20

評価

農林水産省のBSE、厚生省のHIV薬害、農水省や国土交通省の止まることなき公共事業、通産省の硬直した原子力政策の元凶は明治の不平等条約更改のために確立した法科優位の身分制が厳として存在する官僚制のなかでガラスの天井の下に冷遇されてきた数ではまさる技術系官僚が独特な存在体となり、事務系官僚と共生関係を築いたことにある。比喩でいうと技術官僚は法制官僚という巨木に根付いた「寄生植物」ともいえるが、法制官僚は技術官僚集団の存在があってはじめてそのポジションを保っていることができるという共生関係にある。

技術系といっても、採用時にそう区別されるだけで、技術の衣をまとった行政官にすぎないのであるから日本的入口選別方式をやめ、事務、技術の壁を撤去して職務能力に応じて昇進できる制度に変えることが必要である。

今官僚制を改革せずして日本の将来はないと思える。これを変えるのが政治家の使命のはずであるが、官僚に依存している政治家はこの改革ができない。


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