読書録

シリアル番号 565

書名

バカの壁

著者

養老孟司

出版社

新潮新書

ジャンル

サイエンス

発行日

2003/4/10第1刷
2003/4/10第3刷

購入日

2003/05/11

評価

養老孟司氏は氏が東大を辞職する前に書いた「唯脳論」を読んで以来のファンだ。

国立第二劇場とNTT東日本本社近くの紀伊国屋書店でこの本を発見。見過ごすわけにはゆかないと買う。「話せばわかるなんで大嘘」「人は聞きたいののしか耳に入らない」のはなぜか? と帯に書いてある。

ユリウス・カエサルも「人間ならば誰にでも、現実の全てが見えるわけではない。多くの人は自分が見たいと欲するものしか見ない」と言っている。養老氏はユリウス・カエサルと同じことを言いたかったのだろう。

ジェフ・ホーキンスが「考える脳 考えるコンピュータ」で知能の本質は記憶にありと喝破。次第に明らかになりつつある大脳皮質の階層構造と柱構造、各層でのパターンとシーケンスの抽象化、上昇して行くに従い抽象化されるセンサー情報、記憶からなされる予測の下向きの流れ、相方向の情報が重なることによる認知の機構、全く未知のパターンとシーケンスは最終的に最上層を抜けて海馬に至り、新しく記憶すべきことと認知され、下の層に送り返されるという脳の機構のモデルを提唱している。

これが最新の脳の構造とすれば、記憶に無いものは新しく記憶すべきものと認知して記憶しなければならないのだが、それにはそれなりの努力が必要とされる。努力しない人(バカの壁を持ちたい人)はだから見たいと思うことしか見ない、聞かないということになるのだろう。

グリーンウッド氏は江ノ電で鎌倉駅に向かう途中養老孟司氏を見かけたことがある。友人S.K.が学生時代、養老孟司氏 も学生でフルートを練習していたと記憶している。


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