読書録

シリアル番号 529

書名

フランス人 この奇妙な人たち

著者

ポリー・プラット

出版社

TBSブリタニカ

ジャンル

民俗学

発行日

1998/7/14初版
1999/3/10第3刷

購入日

2002/09/29

評価

原題:French or Foe by Polly Platt 妻の蔵書。

フランス人の風習について突っ込んだ解説。意外に日本で古いと考えられる思考・行動がある。国によって人が賞賛される点は違う。

アメリカでは財をなすこと
ドイツでは仕事
イギリスでは血統
フランスでは頭のよさ

である。

日本ではさしずめ場の空気をよめること

か?それなら私などは日本人失格だろう。

ではフランスでは頭の良さはどうやって判断されるかというとグランド・ゼコール(Grandes Ecoles)の卒業生であるかどうかによってきまる。なかん ずくエコール・ポィテクニック(Ecole Polytechnique)が最高。エコール・ポィテクニック卒業生は自分の名前のミドルネームにXをいれることができる。そしてここの10番以内の卒 業成績の人は名刺にコール・デ・ミーヌ(Corps des Mines)の称号をつけることがゆるされ、国家機関や国営企業エルフ・アキテーヌなどでの高い地位が保証される仕組みになっている。エコール・ポィテク ニックはナポレオンによって軍事技師養成のために設立されたという伝統があるためこうなったらしい。

バ イオを担当していたころノース・カロライナのウィルミントンで製薬工場の立地調査をしたとき付き合ってくれたのは米国陸軍工兵隊(Corps of engineers)の工兵だった。彼のジープに乗って候補地が自然保護区となる湿地ではないことを確認にでかけたのだ。Corpsの組織目的は同じだがフランス ではナポレオンのおかげで超エリートの名称になり、米国では環境保護担当になったという歴史がきざまれて面白い。

さてグランド・ゼコールの入学試験は数学1本とのこ と。頭の良さを評価するには高等数学が一番という考えらしい。フランスは政治家も含め、完全に理系の人間によって支配されている。日本が事務系天国なのは 亡国の気配?素粒子物理学者は私の文系エリートが日本をだめにしたという持論を聞いてその通りだが、日本では文系も理系も大差ない。差は指数関数が身についているか、否かではないかという意見をのべた。まさにこの点でフランスのリーダー選抜法が優れているのかもしれない。

孑孑(ぼうふら)の蚊になる頃や何学士    子規

電中研の木下さんが「数学ができて、優秀なフランスのトップの連中がなんで、ナトリウム冷却型FBR(高速中性子型増殖炉)の呪縛か ら、逃れられないのでしょう?(いまとなっては、バカでもわかる、と思うのですが)たいへん不思議です。エンジニアリングが分っていないのかもしれないと 感じています。と書いてきた。

ウラン・プルトニウム型の高速増殖炉は、大規模(いまの軽水炉の2倍くらい〜200万キロワット)な炉心にしないと、増殖率が1を越えない。を(手計算 で)証明しようと目論んでします。もしも、これが言えれば、すなわち、FBRでは崩壊熱が大きくなりすぎて(局所に集中しすぎて)安全系が巨大になり、と てもコスト的にもリスク的にも成立しない、ということになるはずです。(あくまで、これは、現在の目論見です)勘違いかもしれませんが、まだ議論は破綻し ていません。こんなことは、すこし炉物理がわかれば、すぐ気がつく。フランスの頭のいい人達はどうなっているんでしょう。。。(超大型のジャンボ機でも飛 ばしたので、同じ発想かもしれません)

この議論はポイントをついている。お学校秀才を集めただけではだめだということをフランスは身をもって証明している。ドゴール以降フランスは問題じゃないし。EUがおかしくなったのもEU官僚群に問題ありということであろう。ベルギーを旅したがさもありなんとおもう。

中国が300年毎に王朝を繰り返すのも科挙制度が問題ではなかろうかと思っている。

今回のジャマナカ氏の受賞もこのことを示唆しているのだろう。

Rev. December 9, 2012


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