読書録

シリアル番号 466

書名

イギリス人と日本人

著者

ピーター・ミルワード

出版社

講談社

ジャンル

随筆

発行日

1979/1/20第1刷
1986/11/4第13刷

購入日

2000/02/14

評価

娘の本。20年前に書かれた本。日本にほとんどの人生をささげたイギリス人であり、カトリックの神父の書いた英国論。深い洞察力にあふれた観察記。トーマス・グレイの詩 Far from the madding crowd's ignoble strife,・・・が紹介されていた。

イギリス人気質を語った次の一節は特に気に入っている。

中身がなくてかっこうばかりつけたがるこの俗物性があるとはいっても、イギリス人は、実際は、率直で歯に衣着せない良識を大いに誇りとしているのであって、何につけ偽善とか不誠実とかおざなりとかを、あからさまにきらう。「さぐりをいれる」(beat about bush)のをいさぎよしとせず。「黒を黒、白を白という」(call a spade a spade)のを好み、ばか正直に自分も「手の内をさらけだす」(lay all their cards upon the table)と同時に、相手にもそうすることを期待して詐欺瞞着「いんちき」(monkey business)のたぐいをいっさいやらない。かくて、抜けめのない外国人の手にかかては、抜けめの多いにあるイギリス人は、手もなくたぶらかされるという結果にあいなるのだ。

このばか正直の見本みたいなのが、シェイクスピアの作品で人気のある人物ヘンリー五世である。アジンコートの戦いのあとでフランス王女に求愛する段になっ たときの彼のせりふときたら、イタリア人ロメオとはなんたるちがいか。「正直一途の無骨者」としか自分を売り込めなかったのだ。

ウーンなにかおのれを描写しているのではないかと思うのだ。

Rev. January 1, 2007


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