読書録

シリアル番号 404

書名

資本主義経済の幻想 コモンセンスとしての経済学

著者

ポール・クルーグマン

出版社

ダイヤモンド社

ジャンル

経済学

発行日

1998/10/8初版発行

購入日

1998/10/27

評価

原題:Phantasms in Capitalism by Paul Krugman 1994, 1996, 1997

最近のグローバル経済に関する明晰な解析がみごと。産業界、ジャーナリストの軽薄な理解に警鐘をならしている。

経済学は国家運営のための学問でクローズドシステムを扱う。企業活動はオープンシステムでの行動であり、企業経営は国家運営とは発想が異なる。

成功した経営者が国家運営に口を出すとあやまると強く主張。

イラン旅行中に完読。

9年ぶりに再読した。グローバル経済にケインズ政策は有効かという章では、有効でないという結論を出している。日本の小渕内閣の失敗を見ればあきらかであろう。

グローバル経済によって貧者が出現するとするのは原因と結果をはきちがえたみかたで技術革新が非熟練労働者で対応できるようにしたため失業や賃金の低下が生じたのであり、ケインズ的な財政出動をしても彼らを救うことになならず、財政赤字だけが残り、超インフレという結果に終わるだけだという。

クルーグマン・ドクトリンが当たるのは部分均衡論的な見方をせず、経済全体として最終的にどこにおちつくかという一般均衡論に忠実なためである。

Rev. September 2, 2007


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